

都市計画審議会とは、都道府県や市区町村が都市計画を定める際に、都市計画法に基づいて都市計画案を調査審議する機関です 。この審議会は、都市の将来の姿を決定する重要な役割を担っており、住民の生活に大きな影響を及ぼす都市計画について専門的な審議を行います 。
参考)https://suumo.jp/yougo/t/toshikeikakushingikai/
都市計画審議会は、行政機関だけで判断するのではなく、学識経験者や議員、関係行政機関の職員などにより構成される合議制の機関として設置されています 。都道府県都市計画審議会の設置は義務付けられていますが、市町村都市計画審議会は任意で設置することができます 。
参考)https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/urban/000063/000338/p002909.html
都市計画審議会は、都市計画法第77条の2第1項に基づいて設置される法定の審議会です 。都道府県については設置が義務付けられており、市町村については任意設置となっています 。これにより、全国各地で地域の実情に応じた都市計画の審議体制が構築されています。
参考)https://www.city.tamba.lg.jp/section/reiki/reiki_honbun/r394RG00000906.html
設置根拠となる都市計画法では、審議会の権限について「都市計画法その他の法令によりその権限に属せられた事項及び市長の諮問に応じ、都市計画に関する事項を調査審議する」と定められています 。また、「都市計画に関する事項について、関係行政機関に建議することができる」という建議権も付与されています 。
参考)https://www1.g-reiki.net/city.minamiawaji/reiki_honbun/r078RG00000355.html
各自治体では、この法律に基づいて独自の条例を制定し、審議会の具体的な組織や運営方法を定めています。例えば、大阪府都市計画審議会条例や各市町村の都市計画審議会条例などがその例です 。
参考)https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00000127.html
都市計画審議会の委員は、各自治体の条例により定められた人数で構成されます。東京都では35名以内、和歌山市では25名以内、富田林市では24名以内など、自治体の規模や特性に応じて委員数が設定されています 。
参考)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/basic/singikai/aramashi
委員の構成は一般的に以下のような区分で構成されています。
例えば、東京都都市計画審議会では学識経験者10名以内、関係行政機関職員9名以内、区市町村長代表3名以内、東京都議会議員10名以内、区市町村議会議長代表3名以内で構成されています 。
都市計画審議会では、多様な都市計画案件について調査審議が行われます。具体的な審議内容として、用途地域の変更、道路や公園などの都市施設の決定、地区計画の策定、都市計画区域の整備・開発・保全の方針などがあります 。
参考)https://www.city.higashiomi.shiga.jp/machizukuri_kankyou/toshikeikaku/1003483/1003485.html
審議会の開催は年3回程度が一般的で、平日昼間に開催されることが多くなっています 。審議の流れとしては、まず事務局から都市計画案の説明が行われ、委員による質疑応答や討議を経て、最終的に可決・否決の採決が行われます。
参考)https://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_bosyu/tokei/0000280758.html
審議会では、住宅や工場、大規模店舗などの異なった用途の建物が無秩序に混在することを防止する用途地域や、建築物の高さを制限する高度地区、道路、公園など都市に欠かせない施設についても審議されます 。これらの決定は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図る上で極めて重要な役割を果たしています。
都市計画審議会には、調査審議機能に加えて建議権が付与されています。建議権とは、都市計画に関する事項について関係行政機関に対して意見や提言を行うことができる権限です 。この機能により、審議会は受動的な審議機関にとどまらず、能動的に都市計画の改善に向けた提案を行うことができます。
参考)https://www.town.nakai.kanagawa.jp/material/files/group/18/6102_sankou.pdf
近年では、市民参加の観点から市民公募委員を設ける自治体も増加しています。京都市では2名の市民公募委員を募集し、枚方市では2名の市民委員を配置しています 。市民委員の選考では、応募書類による審査や面接が行われ、平日昼間の会議に出席できることが応募条件となることが多いです。
参考)https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000048756.html
市民参加の機能として、公聴会や意見書の提出制度も整備されています。都市計画の決定手続きでは、案の公告・縦覧期間中に住民が意見書を提出することができ、これらの意見は審議会での審議において考慮されます 。このような制度により、住民の意見が都市計画の策定プロセスに反映される仕組みが構築されています。
参考)https://www.city.himeji.lg.jp/sangyo/0000003392.html
都市計画審議会は、単なる形式的な承認機関ではなく、専門的見地から都市計画案を評価し、必要に応じて修正を求める実質的な審議機能を有しています。審議会では、都市計画の技術的妥当性、地域住民への影響、他の都市計画との整合性、財政面での実現可能性などが多角的に検討されます。
特に注目すべき機能として、複数年にわたる長期的な都市計画の整合性チェック機能があります。個別の都市計画案件が既存の都市計画マスタープランや上位計画と矛盾しないか、将来的な都市発展の方向性と合致するかを総合的に判断する役割を担っています。
また、広域調整機能も重要な特徴です。特に市町村が定める都市計画については、県の協議を経て審議会で審議されることにより、周辺地域への影響や広域的な整合性が確保されます 。この機能により、自治体の枠を超えた一体的な都市発展が促進されています。