
買戻特約の登記申請書作成において、最も重要なのは記載事項の正確性です。申請書には以下の項目を必ず記載しなければなりません。
絶対的記載事項
任意的記載事項
売買代金については、利息を併算した合計金額を記載することは認められていません。また、買主が契約費用を何も支出していない場合は「契約費用 なし」と記載します。
登録免許税は1物件につき1,000円となり、他の登記と比較して低額に設定されています。
買戻特約の登記は、売買による所有権移転登記と同時に申請することが法的に義務付けられています。この同時申請の原則は、昭和35年3月31日民事甲712号通達により明確に定められており、所有権移転登記を先に申請しておいて後日買戻特約の登記を申請することは認められていません。
申請書は別々に作成する必要がありますが、同一の受付番号により受け付けられます。買戻特約の登記は所有権移転登記に付記して登記され、常に付記1号で実行されるという特徴があります。
申請手順のポイント
この同時申請制度により、買戻特約の効力が第三者に確実に対抗できる仕組みが確立されています。
令和5年4月1日に施行された改正不動産登記法第69条の2により、買戻特約の抹消登記手続きが大幅に簡略化されました。この改正により、契約の日から10年が経過している買戻特約については、所有者が単独で抹消登記申請を行うことが可能になっています。
従来の制度との違い
この制度変更の背景には、10年が経過した買戻特約は登記簿を見て効力がないことが明らかであると判断できるため、手続きの簡素化が図られたという事情があります。
抹消登記の際は、買戻期間の満了により効力を失った旨を登記原因として記載し、満了日を原因日付として申請します。
買戻特約登記申請には、通常の売買契約以外にも特殊なケースが存在します。まず、代物弁済契約と同時にする買戻特約の登記はできません。同様に、譲渡担保契約と同時にする買戻特約の登記も認められていません。
一方で、所有権の保存登記の申請と同時に買戻特約の登記を申請することは可能です。これは新築物件などで最初の所有権登記を行う際に適用される制度です。
権利移転時の特別な取扱い
買戻権の移転が売買等の場合、買戻権は債権ですが不動産を取得する権利でもあるため、所有権登記名義人が登記義務者となる場合に準じて、登記義務者の印鑑証明書の提供が必要になります。
実際の買戻し実行時の注意点
買戻特約登記申請書の作成において、実務上特に注意すべき点について解説します。まず、登記識別情報の通知・未失効照会について、同一の受付番号が付された他の登記がある場合は利用することができません。これは買戻特約登記が所有権移転登記と同一受付番号で処理されるためです。
契約書作成時の工夫
売買契約書には買戻特約の詳細な内容を明記する必要があります。特に以下の点を明確にしておくことが重要です。
登記原因証明情報の作成ポイント
買戻特約の内容が記載された書類として、売買契約書や覚書きに必要事項が盛り込まれていることを確認します。登記原因証明情報は買戻特約登記の唯一の添付書類となるため、内容に不備があると登記申請が受理されません。
費用対効果の検討
買戻特約の登記は登録免許税が1物件1,000円と低額ですが、司法書士報酬や契約書作成費用も含めて総合的にコストを検討する必要があります。また、将来的な抹消登記の手続きも見据えた長期的な視点での判断が求められます。