
遅延損害金とは、借入金や売買代金などの金銭債務において、定められた支払期日までに返済や支払いがなかった場合に発生するペナルティとしての追加利息です 。法律上、債務の履行が遅れたことによる損害を補償する目的で課される金銭であり、通常の利息よりも高い利率で設定されるのが一般的です 。
参考)https://www.luft.co.jp/cgi/late-payment-penalty.php
不動産取引においては、売買代金の未払い、住宅ローンの返済遅延、家賃滞納などの場面で遅延損害金が発生します 。契約書に遅延損害金に関する記載がない場合でも、民法419条により法定利率での遅延損害金支払い義務は免除されません 。遅延損害金は1日単位で加算されるため、支払いが遅れるほど金額が膨らんでいく仕組みになっています 。
参考)https://www.es-service.net/topics/late-payment-fee/
遅延損害金の基本的な計算式は「債務額×年利率×遅延日数÷365日(うるう年は366日)」です 。例えば、100万円の借入金に対して年利15%の遅延損害金利率が設定され、30日間支払いが遅れた場合、計算は「1,000,000円×15%×30日÷365日=12,329円」となります 。
参考)https://nexpert-law.com/saimu/late-payment-fee/
分割払いの場合は、遅延した返済分のみに遅延損害金が発生するため注意が必要です 。住宅ローンで毎月10万円の返済が2ヶ月遅れた場合、1ヶ月目は10万円×20%÷365日×30日=1,644円、2ヶ月目は20万円(2ヶ月分)×20%÷365日×30日=3,288円となり、合計4,932円の遅延損害金が発生します 。計算では「初日不算入」「小数点以下切り捨て」のルールが適用されることも実務上重要なポイントです 。
参考)https://calc.curium.jp/finance/interest/
遅延損害金の利率には「法定利率」と「約定利率」の2種類があります 。約定利率とは当事者間で契約書に明記して合意した利率のことで、法定利率よりも優先して適用されます 。不動産取引では遅延損害金の約定利率は14%から20%が一般的で、住宅ローンでは14.6%が相場となっています 。
参考)https://keiyaku-watch.jp/media/keiyakuruikei/minpo202004_chiensongaikin/
法定利率は2020年4月1日の民法改正により年5%から年3%に引き下げられ、3年ごとに見直される変動金利制に変更されました 。この法定利率は当事者間で利率の合意がない場合や、裁判での損害賠償請求において使用される基準利率です 。2023年4月1日以降の法定利率については、基準割合が年0.5%と告示されており、引き続き年3%が適用されています 。
参考)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
オンラインで利用できる遅延損害金計算ツールには複数の種類があり、それぞれ異なる機能を提供しています。最も基本的なツールは「元金」「遅延損害金利率」「支払期日」「現在日時」を入力するだけで、遅延日数と遅延損害金、支払額合計を自動計算する機能を持っています 。
法務省が提供する公式の遅延損害金計算ソフトウェアは、債務の弁済額に遅延損害金を付した金額を供託所に納付する場合の計算に特化しており、法的手続きでの使用を想定した高い精度を持っています 。民間のオンラインツールでは複数の借入れや分割払いにも対応し、期間別の詳細な計算結果を表形式で表示する機能を備えたものもあります 。これらのツールは「初日不算入」「小数点以下切り捨て」などの法的ルールに従って計算を行うため、実務での正確な金額算出が可能です 。
参考)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00073.html
遅延損害金の利率には利息制限法による上限が設けられており、元本額に応じて異なる制限が適用されます 。具体的には、元本10万円未満では年29.2%、元本10万円以上100万円未満では年26.28%、元本100万円以上では年21.9%が上限利率となっています 。これらの数値は利息制限法第1条の上限金利の1.46倍として算出されています 。
参考)https://www.daylight-law.jp/debt/qa/qa127/
消費者契約については消費者契約法により、遅延損害金の利率は年14.6%までと制限されています 。出資法では貸金業者が設定できる利息の絶対的上限を年20%と定めており、これを超える契約は無効となり刑事罰の対象にもなります 。不動産取引における実際の契約では、これらの法的制限内で利率が設定され、3,000万円の住宅ローンで遅延日数が20日、利率14.6%の場合、「30,000,000円×14.6%×20日÷365日=240,000円」という高額な遅延損害金が発生することもあります 。
参考)https://green-osaka.com/sh-knowhow/saimuseiri/delayed-compensation.html