
中古アパート投資において最も深刻な失敗要因は立地選定のミスです。特に地方や郊外の物件では、表面利回りの高さに惑わされて購入したものの、実際には入居者が集まらず長期空室に悩まされるケースが頻発しています。
賃貸需要の低いエリアでは以下のような問題が発生します。
実際の失敗事例として、利回り12%の地方アパートを購入した投資家が、購入後1年間で入居率30%しか確保できず、月々15万円の持ち出しが発生したケースがあります。表面利回りだけでなく、実質利回りや将来の賃貸需要を慎重に分析することが重要です。
築年数の古い中古アパートでは、購入後の修繕費用が想定を大幅に上回るケースが多発しています。特に木造アパートでは、外壁塗装、屋根修理、給排水設備の交換など、まとまった費用が必要になる時期が重なることがあります。
修繕費用で失敗する典型的なパターン。
ある投資家は築25年のアパートを1,500万円で購入しましたが、購入後2年間で外壁塗装200万円、屋根修理150万円、給湯器交換80万円など、総額500万円以上の修繕費が発生しました。年間家賃収入180万円に対して、修繕費だけで収益の大部分が消失する結果となっています。
管理会社の選定ミスは、中古アパート投資の成否を大きく左右する要因です。管理費の安さだけで選んだ結果、入居者募集力が低く、トラブル対応も不十分な管理会社に委託してしまうケースが後を絶ちません。
管理会社選びの失敗パターン。
実際の失敗事例では、管理費率3%の格安管理会社に委託した結果、空室期間が平均6ヶ月に延び、年間収益が30%減少したケースがあります。また、入居者の家賃滞納が発生した際の対応が遅れ、3ヶ月分の家賃回収ができなかった事例も報告されています。
優良な管理会社の見極めポイントとして、入居率95%以上の実績、迅速な入居者募集、適切な入居審査、24時間サポート体制などが挙げられます。
中古アパート投資では、物件の築年数や構造によって融資条件が大きく変わるため、資金調達で失敗するケースが増えています。特に築古物件では、金融機関の評価が厳しく、想定していた融資額や金利条件で借り入れできない事態が発生します。
融資審査での失敗要因。
ある会社員投資家は、築30年の木造アパートを購入予定でしたが、金融機関から「残存耐用年数が短すぎる」として融資を断られ、自己資金での購入を余儀なくされました。結果として、レバレッジ効果を活用できず、投資効率が大幅に低下しています。
また、変動金利での借り入れ後に金利上昇局面を迎え、月々の返済額が当初予定より5万円増加したケースもあります。金利変動リスクを考慮した資金計画の重要性が浮き彫りになっています。
中古アパートでは、建物の構造上の問題から入居者間のトラブルが発生しやすく、これが長期的な収益悪化につながるケースがあります。特に木造や軽量鉄骨造のアパートでは、防音性能が低く、騒音問題が頻発する傾向にあります。
入居者トラブルの典型例。
実際の事例として、2階建て木造アパートで深夜の足音や音楽による騒音トラブルが発生し、苦情を受けた入居者が次々と退去したケースがあります。結果として、入居率が50%まで低下し、新規入居者の募集でも「騒音の多い物件」という評判が広まり、家賃を相場より1万円下げざるを得ませんでした。
さらに、入居者の突然の失踪により、家賃3ヶ月分と原状回復費用20万円の損失が発生した事例も報告されています。このようなリスクを軽減するため、入居審査の厳格化と保証会社の活用が重要になります。