道路法と道路交通法の違い

道路法と道路交通法の違い

道路法と道路交通法は似た名前の法律ですが、全く異なる目的と対象を持っています。道路の整備・管理を扱う道路法と交通ルールを定める道路交通法の違いを理解することで、不動産関係の業務にも活用できるのではないでしょうか。

道路法と道路交通法の違い

道路法と道路交通法の基本的な違い
🛣️
道路法:道路の整備・管理

公道の建設、維持管理、占用許可などを規定する法律

🚗
道路交通法:交通ルール

車両・歩行者の通行方法や違反時の処罰を定める法律

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対象となる道路の範囲

道路法は公道のみ、道路交通法は私道も含む幅広い適用

道路法の基本的な定義と目的

道路法は昭和27年に制定された法律で、主に道路の整備と管理に関する包括的な規定を定めています。この法律の目的は「道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進すること」とされています。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E8%B7%AF%E6%B3%95

 

道路法が対象とする道路は以下の4種類に限定されます:
参考)https://works-hub.jp/blog22/

 

  • 高速自動車国道(例:東名高速道路)
  • 一般国道(例:国道○○号線)
  • 都道府県道(例:県道○○号線)
  • 市町村道(例:市道○○号線)

重要なポイントは、道路法では私道は対象外となることです。林道や農道なども道路法の適用を受けません。道路管理者は国土交通省が所管し、道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧などの管理業務を行います。
参考)http://www.douroweb.jp/312administrator/administrator.html

 

道路交通法の基本的な定義と目的

道路交通法は昭和35年に制定された法律で、交通の安全と円滑な流れを確保することを主目的としています。第1条では「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資すること」を目的として明記されています。
参考)https://agoora.co.jp/jiko/knowledge/road-traffic-act.html

 

道路交通法の特徴は、適用される「道路」の範囲が非常に広いことです。公道だけでなく、以下も対象となります:

  • 不特定多数の人が自由に通行できる私道
  • 商業施設内の通り抜け可能な敷地内通路
  • マンションの敷地内道路(一定条件下)

この法律は自動車、オートバイ、自転車、歩行者すべてを対象とし、違反時には行政処分や刑事処分が科されます。国家公安委員会(警察庁)が所管し、交通警察権の行使により運用されています。
参考)https://vs-group.jp/lawyer/ko-tu-jiko/6221.html

 

道路法における管理権限と手続き

道路法に基づく道路管理は、道路管理権という特殊な権能によって行われます。この道路管理権は「一般交通の用に供するという道路本来の目的を達成するために法律が道路管理者に認めた特殊な権能」と定義されています。
道路管理権の主な内容は以下の通りです。

  • 道路の効用発揮を担保する公権的側面
  • 敷地の権原という私権的側面
  • 道路区域と沿道区域での権限行使

実際の管理業務では、道路占用許可が重要な手続きとなります。電柱の設置や工事用足場の設置など、道路を使用する際には道路管理者への申請と許可が必要です。また、車両制限令により、道路を通行できる車両の幅、重量、高さ、長さの最高限度が定められており、これを超える特殊車両は通行許可が必要となります。
参考)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/oto/otodb/japanese/houseido/hou/lh_06070.html

 

道路交通法における違反行為と罰則体系

道路交通法では、交通の安全を確保するため様々な違反行為とその罰則が詳細に規定されています。主な違反行為には以下があります:
参考)https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/traffic-rules/

 

重大違反行為

  • 無免許運転(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)
  • 酒酔い運転(5年以下の懲役または100万円以下の罰金)
  • 妨害運転(あおり運転)(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)

一般的な違反行為

  • 最高速度違反(スピード違反)
  • 一時停止義務違反
  • 信号無視
  • 駐停車禁止違反

違反時の処分は、軽微な違反には反則金制度が適用され、重大な違反には刑事処分(罰金・懲役)が科されます。さらに、違反点数制度により免許停止や取消処分も行われ、総合的な交通安全対策が実施されています。
参考)https://jico-pro.com/columns/473/

 

道路法と道路交通法の不動産業界への影響

不動産取引において、道路法と道路交通法の理解は接道義務の判断建築可能性の検討に直接関わります。建築基準法では「敷地は建築基準法上の道路に2m以上接していること」が建築の条件とされていますが、この判断には道路法の知識が不可欠です。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000012045.html

 

宅建業者が注意すべき主なポイント。
道路法関連

  • 建築基準法42条1項1号道路(道路法道路)の確認
  • 道路の幅員や建築制限の調査
  • 道路占用許可の必要性確認

道路交通法関連

  • 私道であっても交通法規の適用があること
  • 駐車場の設置基準と交通安全の配慮
  • 開発行為時の交通影響評価

特に既存不適格建築物の取扱いでは、建築時と現在の道路法制度の変遷を理解することが重要です。道路の種別判定や位置指定道路の確認は、不動産の資産価値評価に直結するため、正確な法的知識に基づく判断が求められます。
参考)https://iqrafudosan.com/channel/not-42jyou-road