

会社更生法を適用した企業は、戦後から現在まで数多く存在しています。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%9B%B4%E7%94%9F%E6%B3%95%E3%82%92%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BC%81%E6%A5%AD%E4%B8%80%E8%A6%A7
1950年代から1960年代の適用企業:
これらの初期適用企業には、製造業や工業系企業が多く見られるのが特徴的です。戦後復興期における経営困難な企業が、新たな法制度を活用して再建を図ったことがわかります。
会社更生法の適用には、厳格な条件が設けられています。適用対象は株式会社のみに限定されており、この点が他の法的整理手続きとの大きな違いです。
参考)https://biz-salvage.jp/517
主な適用要件:
申請権者は、対象となる株式会社自身、議決権の10分の1以上を保有する株主、または資本金の10分の1以上に相当する債権を持つ債権者に限られています。
参考)https://fundbook.co.jp/column/business/corporate-reorganization-act/
適用の判断基準は単なる資金不足ではなく、企業の抜本的な再建が必要な状況に限定されています。これにより、大規模企業の徹底的な経営再構築が可能となる制度設計となっています。
会社更生法における管財人の役割は、民事再生法と大きく異なる特徴があります。手続き開始とともに現経営陣は全員退任し、裁判所が選任する更生管財人に経営権と財産の管理・処分権限が完全に移転します。
参考)https://sugiyama-saimuseiri.com/words/kaisyakousei/
更生管財人の主要な役割:
更生管財人には通常、企業再建に精通した弁護士や企業経営の専門家が選任されます。管財人の手腕が会社再建の成否を大きく左右するため、裁判所は慎重に人選を行います。
手続きの流れは、申立て→保全措置→開始決定→債権調査→財産評定→更生計画案の作成・決議・認可→計画遂行→終結という段階を経ます。この過程で、担保権者の権利も制限され、会社の財産が一体的に管理されることになります。
参考)https://journal.bizocean.jp/corp03/c04/4588/
会社更生法を適用した企業の中で、最も著名な成功事例として日本航空(JAL)が挙げられます。2010年に会社更生法の適用を申請したJALは、1兆円を超える負債を抱えて日本の企業倒産史上最大の破綻となりましたが、見事な復活を遂げました。
参考)https://biz-salvage.jp/456
JAL再生の成功要因:
JALはわずか2年後には東証再上場を果たし、短期間での大企業再生の模範例となりました。
一方で、必ずしもすべての企業が成功するわけではありません。会社更生法を適用しても、その後破産手続きに移行したり、清算となったケースも存在します。三宝海運(1995年申請、1997年会社解散)や有村産業(1999年申請、2008年更生廃止、解散)などがその例です。
成功の鍵となるのは、早期の適用決断、適切なスポンサー選定、徹底した事業再構築、そして関係者の協力体制構築などが重要な要素となります。
会社更生法と民事再生法は、どちらも企業再建を目的とした法的整理手続きですが、企業への適用効果には大きな違いがあります。
参考)https://green-osaka.com/sh-knowhow/saimuseiri/corporate-reorganization-law.html
会社更生法の特徴:
参考)https://www.avance-lg.com/customer_contents/saimuseiri/corporate-reorganization/
民事再生法との主な相違点:
これらの違いにより、会社更生法は「抜本的な企業再構築が必要な大企業」向けの制度として位置づけられ、民事再生法は「経営陣の続投を前提とした比較的軽度な再建」に適した制度となっています。
近年、上場企業の法的整理では民事再生法の利用が圧倒的に多くなっており、2015年のスカイマークや第一中央汽船なども民事再生法を選択しています。これは、現経営陣の続投可能性や手続きの簡便性が評価されているためです。
参考)https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26IG9_W7A620C1000000/