
株主権とは、株式会社の株主が会社に対して有する権利の総称です 。株主権は大きく分けて「自益権」と「共益権」の2つに分類されます 。
参考)https://keiyaku-watch.jp/media/kisochishiki/kabunushi/
自益権は、行使の結果が株主個人の利益のみに影響する権利で、剰余金配当請求権や残余財産分配請求権など経済的利益に関する株主権の多くが該当します 。一方、共益権は、行使の結果が株主全体の利益に影響する権利で、株主総会における議決権をはじめとして会社の経営参加に関する権利の多くが該当します 。
さらに、株主権は権利行使の要件によって「単独株主権」と「少数株主権」に分類することもできます 。単独株主権は1株でも保有していれば行使できる権利で、少数株主権は一定割合または一定数以上の株式を保有している場合に限り行使できる権利です 。
単独株主権に含まれる主要な権利として、以下の一覧が挙げられます :
参考)https://gyosyo.info/%E5%8D%98%E7%8B%AC%E6%A0%AA%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E3%81%A8%E5%B0%91%E6%95%B0%E6%A0%AA%E4%B8%BB%E6%A8%A9/
これらの権利は1株でも保有していれば行使可能で、株主の基本的な権利として位置づけられています 。
少数株主権は、持株比率に応じて段階的に権利が認められる仕組みになっています 。主要な少数株主権の一覧は以下の通りです:
参考)https://asanagi.co.jp/2023/10/27/5947/
議決権1%以上:株主総会の検査役選任請求権
参考)https://www.squeezeout.jp/archives/share_shosukabunushitaisaku/
議決権3%以上:会計帳簿閲覧請求権、業務執行に関する検査役選任請求権、役員解任請求権、株主総会招集請求権
参考)https://kslaw.jp/column/detail/6861/
議決権10%以上:募集株式発行時の株主総会請求権、解散請求権
特に重要なのは、これらの権利が複数の株主が共同して一定割合以上を持っていれば権利行使可能という点です 。例えば、1人では3%未満であっても、複数人で3%以上となることで会計帳簿閲覧謄写請求権が発生します 。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/shareholder_accounting_books/
宅建業法の観点から見ると、株主権は特別な意味を持ちます。宅建業免許申請時には「5パーセント以上の株主・出資者等の名簿」の提出が必要とされており 、株主構成の把握が重要な要素となっています。
参考)https://www.takken-support.net/takken-kabunushi.html
不動産会社のM&Aにおいて、株式譲渡によって株主が変わる場合でも、会社自体は継続するため宅建免許は引き続き有効となります 。これは、株主権の移転が必ずしも事業の継続性に影響しないことを示しています。
参考)https://mabp.co.jp/magazine/12954/
株主構成を確認する方法として、決算書の別表「同族会社の判定に関する明細書」や株主名簿の確認が一般的です 。これらの書類により、現在の株主権の分布状況を正確に把握することができます。
株主権の中でも特に重要なのが経営参加に関する権利です。株主総会における議決権は、1株当たり1票の原則で行使され、株主総会決議は出席株主の議決権の過半数によって行われます 。
重要事項については、出席株主の議決権の3分の2以上による特別決議や、さらに要件が加重された特殊決議が必要とされています 。これにより、少数株主であっても一定の影響力を維持できる仕組みが構築されています。
株主総会招集請求権は、総株主の議決権の3%以上を6か月以上保有する株主に認められており 、経営陣の暴走を抑制する重要な機能を果たしています。招集請求が無視された場合には、裁判所の許可を得て株主自らが株主総会を開催することも可能です 。