
iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金の愛称で、国民年金基金連合会が実施主体となる私的年金制度です 。基本的に公的年金制度に加入している20歳以上65歳未満の全ての人が加入対象で、加入は任意となっています 。
参考)https://faq.dcplan.co.jp/faq/show/3648?category_id=212amp;site_domain=user
制度の仕組みは、加入者が自分で積み立てた掛金を使って、自分で選んだ金融商品を運用していくことで資産を増やすというものです 。掛金は60歳まで積み立て、60歳以降に積立金を取り崩して給付を受けます 。受け取る額は運用成績によって変動するため、運用の仕方次第で将来の年金額が大きく変わることになります。
参考)https://ideco.wealthadvisor.co.jp
拠出限度額は、自営業者の場合月額68,000円(年額816,000円)となっており、会社員、主婦など本人の属性によって異なります 。実施主体は国民年金基金連合会で、加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てを個人で行う点が特徴です 。
参考)https://www.nomura.co.jp/terms/english/other/A03099.html
iDeCoの最大の魅力は、3つの段階における税制優遇措置です 。まず、積立時には掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、その年の所得税や翌年の住民税が安くなります 。
参考)https://www.sonylife.co.jp/land/blog/column006.html
例えば毎月2万円を拠出する場合、所得税率が20%であれば年間で4万8,000円分の所得税が控除されます 。これにより、自分で拠出することで将来の備えをしつつ所得控除を受けることができるのです。
運用時には、通常の投資で利益が出ると運用益に対して税金がかかりますが、iDeCoによって得た運用益には税金がかかりません 。通常、株式など金融商品を運用した場合、所得税15.315%、住民税5%の計20.315%がかかりますが、iDeCoを通じて金融商品を運用した場合、この税金は免除されます 。
参考)https://www.resonabank.co.jp/nenkin/ideco/column/401k-can-tax-saving.html
受取時においても税制優遇があり、年金の形で受け取る場合は公的年金等控除、一時金の形で受け取る場合は退職所得控除が適用されます 。一時金で受け取る場合、確定拠出年金で掛金を掛けた期間が勤続年数として扱われるため、拠出期間が長いほど退職所得控除額が多くなります 。
参考)https://www.benefit401k.com/kyufu/guide/agedbenefit/receive/
iDeCoの商品には、大きく分けて「元本確保型商品」と「投資信託」の2種類があります 。元本確保型は、定期預金や貯蓄型保険が中心で、満期まで運用すれば元本に加え利息や配当金などが受け取れます 。基本的には元本が保証されていますが、商品によっては中途解約すると元本を下回る可能性がある点に注意が必要です 。
参考)https://www.bk.mufg.jp/column/shisan_unyo/b0128.html
投資信託は1つの商品の中に株式や債券など複数の資産がパッケージ化されており、元本保証はない代わりに元本確保型商品よりリターンを期待できます 。投資信託の商品は、投資対象が「株式」か「債券」か、投資する地域が「国内」か「海外」かによって、国内株式型、外国株式型、国内債券型、外国債券型、バランス型の5種類に分類できます 。
商品選びで重要なのはコストです 。iDeCoは10年、20年、30年と長期運用となるため、商品ごとにかかるコストが異なる投資信託では、このコストの差が運用成果に大きく影響します 。バランス型とは1本で複数の資産や地域にバランス良く投資する投資信託のことで、自分で資産配分を考えるのが難しい場合には活用すると良いでしょう 。
参考)https://moneiro.jp/media/article/ideco-choose
iDeCoを始める際は、運営管理手数料が0円の証券会社を選ぶのがおすすめです 。iDeCoは加入時に2829円、毎月合計171円など、どの金融機関でも必ずかかる共通の手数料があるうえ、加入する金融機関に支払う運営管理手数料が発生します 。
参考)https://diamond.jp/zai/articles/-/147817
この「運営管理手数料」は金融機関によって0円のところから500円程度のところまでまちまちで、月々では数百円の差でも長期で積み重なると馬鹿にならない額になります 。条件なしでもっとも手数料が安いのは「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」となっています 。
参考)https://www.dcnenkin.jp/search/commission.php
金融機関選びで最も重視すべきは、商品数よりも「運用したい商品の取り扱いがあるかどうか」です 。SBI証券では投資信託のラインナップが豊富で、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)、SBI・全世界株式インデックスファンドなどのインデックスファンドのほか、ひふみ年金やジェイリバイブなどのアクティブファンドも用意されています 。楽天証券では、楽天・全世界株式インデックスファンドや楽天・全米株式インデックスファンド、MHAM日本成長株ファンドやコモンズ30ファンドなど、インデックスファンドだけでなくアクティブファンドの本数も多くなっています 。
参考)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB054Y70V00C25A8000000/
iDeCoには60歳まで引き出しができないという大きな制約があります 。これは老後資金の確保を目的とした制度であるためですが、急な出費などを考慮して当面使う予定のない資金で始める必要があります 。なお、掛金を払うことが困難になった場合は、掛金の減額や支払い停止も可能です 。
参考)https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/merit-demerit/
運用次第では元本割れリスクがある点も重要な注意事項です 。元本割れリスクとは、投資した金額が運用期間中に減少し、最終的に元本を下回るリスクです 。ただし、これは元本が保証されていない商品を選んだ場合のみ発生するリスクで、元本確保型商品を選んでおけば元本割れする心配がありません 。
参考)https://sokei-401k.com/archives/281
意外に知られていないのが、年金受取を選択した場合の社会保険料への影響です 。年金で受け取る場合、国民健康保険料や介護保険料が増える場合があり、地方自治体によって負担額が異なります 。一方、一時金での受取の場合は社会保険料への影響はありません 。
手数料についても、一時金は給付事務手数料が1回のみですが、年金の場合は給付の都度手数料がかかるため、手数料のみを比較した場合、一時金より年金の方が負担額が大きくなります 。