
課税価格は、不動産の登録免許税を算定するための基礎となる重要な数値です。具体的には、市区町村役場で管理されている固定資産課税台帳に記載された不動産価格のうち、1,000円未満を切り捨てた金額が課税価格となります。
建築業従事者の皆様が実務で必要となる固定資産税評価額は、以下の方法で取得できます。
例えば、固定資産税評価額が1,234万5,678円の土地の場合、1,000円未満の678円を切り捨てて、課税価格は1,234万5,000円となります。この計算は非常にシンプルですが、大規模な開発案件では数百万円単位の差が生まれる可能性があるため、正確な理解が必要です。
なお、課税価格が1,000円に満たない場合は1,000円で計算することも覚えておきましょう。これは小規模な附属建物などで稀に発生するケースです。
登録免許税は、課税価格×税率の計算式で求められ、算出された金額の100円未満は切り捨てとなります。ただし、計算結果が1,000円に満たない場合は、最低税額として1,000円が適用されます。
主要な税率は以下の通りです。
所有権移転登記
所有権保存登記
具体的な計算例を見てみましょう。課税価格が1,234万5,000円の土地を相続する場合。
1,234万5,000円 × 4/1,000 = 4万9,380円
100円未満切り捨て → 4万9,300円
建築業では新築物件の引き渡し時に所有権保存登記が必要になるため、この計算方法は必須の知識となります。
建築業従事者が最も頻繁に遭遇するのが、土地と建物を同時に登記する場合の計算です。この場合、土地と建物の固定資産税評価額を合計してから課税価格を算定します。
戸建て住宅の計算例
計算手順。
マンションなど敷地権付区分建物の場合
区分所有建物では、敷地全体の固定資産税評価額に敷地権割合を乗じて計算します:
計算。
この計算は分譲マンション開発時の各戸引き渡しで必要となる重要な知識です。
建築業界では、公衆用道路など固定資産税が「非課税」となっている土地を扱うことがあります。この場合の課税価格算定には特別な計算方法が適用されます。
公衆用道路の課税価格計算
計算例
計算手順。
この特殊ケースは、住宅開発で私道を公衆用道路として提供する際に重要となります。多くの建築業従事者が見落としがちなポイントですが、適切な理解により顧客への正確な説明が可能になります。
新築建物の評価額がない場合
新築物件では固定資産税評価額がまだ決定していないため、法務局認定価格が使用されます。各法務局が公表する「新築建物価格認定基準価格表」に基づき、構造・用途別に1㎡あたりの基準価格が定められています。
例:名古屋法務局管内(2024年度)
この基準価格に床面積を乗じて評価額を算出し、登録免許税を計算します。
建築業従事者にとって重要な情報として、住宅用家屋の軽減措置があります。この制度により、一定の要件を満たす住宅では登録免許税が大幅に軽減されます。
主な軽減措置
新築住宅の所有権保存登記
適用要件
軽減効果の計算例
固定資産税評価額2,000万円の新築住宅の場合。
この軽減措置は、建築業者が顧客に提案する際の重要なセールスポイントとなります。特に注文住宅や分譲住宅の販売において、諸費用の説明時に正確な軽減税額を提示できることは、顧客満足度向上に直結します。
ただし、軽減措置の適用には住宅用家屋証明書の取得が必要です。この証明書は市区町村で発行され、登記申請時に添付することで軽減税率が適用されます。建築業者は引き渡し前に顧客にこの手続きを案内することが重要です。