
令和7年分の路線価が国税庁から7月1日に公開され、全国平均で前年比2.7%上昇となりました。これは昨年の2.3%を上回る上昇率で、現行の集計方法が始まった平成22年度以降では最大の伸び幅を記録しています。
都道府県庁所在地における最高路線価の変動を見ると、35都市で上昇、11都市で横ばい、下落したのは鳥取市のみでした。特に東京都は8.1%の上昇率となり、全国平均を大きく上回りました。
この上昇の背景には以下の要因があります。
全国で最も高い路線価は、40年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り」(鳩居堂前)で、1㎡当たり4,808万円(前年比8.7%増)となり過去最高を更新しました。
路線価を使った土地の評価額計算には、具体的な計算式があります。最も基本的な一つの道路に面している場合の計算方法は以下の通りです。
路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
路線価は地価公示価格の80%程度を目途に設定されており、毎年1月1日時点での価格を基準に、1年間の地価変動などを考慮して決定されます。
計算の実例として。
複数の道路に面している土地の場合は、正面路線価に側方路線影響加算率を適用します。側方路線価に影響加算率を掛けた価格を正面路線価に加算することで、最終的な㎡あたりの路線価を算出します。
路線価図の確認方法は以下の手順で行います。
路線価の上昇は相続税評価額に直接的な影響を与えます。令和7年の路線価上昇により、土地を所有している方の相続税負担は前年と比較して増加する傾向にあります。
相続税への具体的な影響として。
この状況を受けて、相続対策の重要性が高まっています。路線価上昇を踏まえた生前対策として、以下の点が重要です。
路線価の動向は今後も注視が必要で、特に都市部の再開発が進むエリアでは継続的な上昇が予想されます。
路線価データを実務で活用する際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、路線価は1月1日時点での評価であることを理解する必要があります。相続が発生した場合、その年の路線価を使用して土地評価を行いますが、地価変動が激しい地域では補正が必要な場合があります。
路線価図の見方で注意すべき点。
実際の評価作業では、以下の手順で行います。
特殊な形状の土地や複数路線に面する土地の場合は、より複雑な計算が必要になります。このような場合は専門家への相談が推奨されます。
国税庁ホームページでは平成30年分から令和7年分までの路線価データが公開されており、過去の推移との比較も可能です。これにより、地価の動向を長期的に把握することができます。
令和7年の路線価上昇は、単なる数値の変化以上の意味を持っています。4年連続の上昇という傾向は、日本の不動産市場が構造的な変化を迎えていることを示唆しています。
特に注目すべき要因として、インバウンド需要の完全回復があります。コロナ禍で一時的に停滞していた訪日観光客数が回復し、宿泊施設や商業施設への投資が活発化しています。これは従来の国内需要中心の市場構造から、国際的な需要も取り込んだ市場への転換を意味します。
また、低金利環境が継続していることも重要な要素です。日本銀行の金融緩和政策により、不動産投資への資金調達コストが低く抑えられており、これが投資需要を押し上げています。
地域別の特徴として、以下の傾向が見られます。
今後の予測として、この上昇トレンドは当面継続する可能性が高いと考えられます。特に2025年の大阪・関西万博開催に向けた関西圏での開発投資、リニア中央新幹線の開業を見据えた中部圏での投資活動などが、路線価のさらなる上昇要因となる可能性があります。
一方で、人口減少や高齢化の進展により、地方部では二極化が進む可能性もあります。交通利便性の高い地域と過疎化が進む地域での格差拡大には注意が必要です。
不動産従事者としては、これらの市場動向を踏まえた適切な投資判断や顧客アドバイスが求められます。路線価の動向は単なる税務上の基準値ではなく、不動産市場全体のバロメーターとして捉える必要があります。