両手取引仲介手数料の仕組み徹底解説

両手取引仲介手数料の仕組み徹底解説

不動産業界の両手取引における仲介手数料の仕組みを詳しく解説。片手取引との違いや囲い込みリスク、適正な手数料計算方法を知ることで、安心して取引を進められますが、あなたは正しく理解していますか?

両手取引の仲介手数料

両手取引仲介手数料の全体像
💰
基本的な手数料体系

売主・買主双方から仲介手数料3%+6万円を受領

⚖️
利益相反のリスク

1社が双方を担当することによる公平性の問題

🔒
囲い込み防止対策

透明性の高い取引のための業界改善努力

両手取引における仲介手数料の基本構造

両手取引の仲介手数料は、1社の不動産仲介業者が売主と買主の双方から手数料を受け取る仕組みです。売主・買主それぞれの負担額は「不動産売却価格×3%+6万円+消費税」で、片手取引と同じ金額となります。
例えば5000万円のマンション売買の場合。

  • 売主負担:171万6,000円(税込)
  • 買主負担:171万6,000円(税込)
  • 仲介業者の総収入:343万2,000円(税抜)

この手数料は宅建業法で定められた上限額であり、交渉により減額される場合もあります。仲介業者にとって両手取引は収入が2倍になるため、経営面では大きなメリットとなります。

両手取引と片手取引の仲介手数料比較

片手取引では、売主側と買主側にそれぞれ異なる仲介業者が付き、各業者は自社の顧客からのみ手数料を受け取ります。一方、両手取引では1社が双方から手数料を受領するため、仲介業者の収益性が大幅に向上します。
取引形態別の手数料収入比較

  • 片手取引:成約額の約3%(1社あたり)
  • 両手取引:成約額の約6%(1社で双方から)

ただし、売主・買主の個別負担額は両方式で変わりません。重要なのは、どちらの取引形態でも顧客の負担は同じという点です。

両手取引仲介手数料の法的規制と上限設定

仲介手数料の上限は国土交通大臣の定める所により宅建業法で厳格に規定されています。この上限を超える金額の受領は違法行為にあたります。
売買価格別の報酬上限

  • 200万円以下:5%+消費税
  • 200万円~400万円:4%+消費税
  • 400万円以上:3%+消費税

2018年1月の法改正により、400万円以下の物件では売主から最大18万円まで受け取り可能になりました。これは低価格物件の取引促進を目的とした措置です。

両手取引に潜む囲い込みリスクと仲介手数料への影響

両手取引では「囲い込み」と呼ばれる問題が指摘されています。これは仲介業者が売主からの物件情報を他社に公開せず、自社の買主とのみ取引を進める行為です。囲い込みにより、売主は適正な市場価格での売却機会を失う可能性があります。
囲い込みの弊害

  • 売却期間の長期化
  • 成約価格の低下
  • 買主の選択肢制限

この問題は仲介手数料の2倍受領を目的とした業者の利益優先行為として、業界内で深刻視されています。

両手取引仲介手数料の透明性確保と業界改善策

国際的には両手取引は「双方代理」として利益相反の観点から問題視されており、アメリカでは禁止されています。日本でも業界の透明性向上のため、以下の改善策が議論されています:
改善への取り組み

  • 物件情報の完全公開義務化
  • 両手取引時の特別開示制度
  • 仲介手数料の段階的見直し
  • 消費者教育の推進

不動産業従事者として、顧客の利益を最優先に考え、公正な取引の実現に向けた努力を継続することが重要です。両手取引の仲介手数料システムを正しく理解し、適切な業務執行により業界全体の信頼向上に貢献することが求められています。

 

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