
専有面積の計算には「壁芯面積」と「内法面積」という2つの異なる測定方法があります。この違いを正確に理解することは、不動産従事者にとって極めて重要です。
壁芯面積(かべしん・へきしん面積)
内法面積(うちのり面積)
壁芯面積と内法面積の差は、建物の構造によって大きく変わります。鉄筋コンクリート造のマンションでは壁が厚いため、両者の差が顕著に現れます。木造アパートの場合は壁が薄いため、差は比較的小さくなります。
専有面積を顧客により分かりやすく説明するため、平方メートルから畳数や坪数への換算は日常的に必要となります。
畳数への換算計算
坪数への換算計算
地域による畳サイズの違い
地域によって畳のサイズが異なるため、正確な換算には注意が必要です。特に関西圏では京間が使用されることが多く、関東圏の江戸間より約1.3倍大きくなります。
専有面積の範囲を正確に把握することは、顧客への説明において重要です。
専有面積に含まれる部分
専有面積に含まれない部分
意外と知られていない除外部分
ベランダが専有面積に含まれない理由は、緊急時の避難経路として他の住戸からも使用される可能性があるためです。また、ロフトは建築基準法上、天井高が1.4m以下の場合は床面積に算入されません。
建物構造によって専有面積の計算で注意すべき点が異なります。不動産従事者として、構造別の特徴を理解しておくことが重要です。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄骨造(S造)
木造
実務での対応ポイント
顧客に物件を紹介する際は、構造による壁厚の違いを説明し、同じ専有面積でも実際の居住感が異なることを伝えることが重要です。特にRC造の場合は、壁芯面積表記だと実際より広く感じられる可能性があります。
専有面積の計算方法は、法的根拠と業界の自主規制によって定められています。不動産従事者として、これらの基準を正確に理解しておく必要があります。
法的根拠
業界基準の詳細
分譲マンションの広告では壁芯面積での表記が義務付けられており、これは「不動産の表示に関する公正競争規約」に基づいています。一方、賃貸物件では明確な規定がないため、内法面積での表記が一般的となっています。
最新の動向と注意点
近年、消費者保護の観点から、より実態に近い面積表示が求められる傾向にあります。特に中古マンションでは、登記面積(内法面積)を併記するケースが増えています。
実務での活用方法
国土交通省の住宅性能表示制度では、より詳細な面積表示が求められており、今後さらに透明性の高い表示方法が普及する可能性があります。
住宅性能評価機関による詳細な面積計算基準について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000017.html
不動産従事者として、これらの基準変更に常に注意を払い、最新の情報を顧客に提供することが求められます。専有面積の正確な計算と適切な説明は、顧客満足度向上と法的リスク回避の両面で重要な要素となっています。