

特別縁故者として審判が確定するためには、民法958条の3に規定された要件を満たす必要があります。申立人が特別縁故者として認定されるには、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者のいずれかに該当する必要があります。
参考)https://xn--u8j0gk6123eu6g.com/process/tokubetsuenkosya/
家庭裁判所による審理では、被相続人との具体的な関係性や縁故の程度が詳しく検討されます。内縁の配偶者や事実上の親子関係にあった者の場合、生計を同じくしていた証拠として住民票や生活費の送金記録などが重要な判断材料となります。療養看護に努めた者については、介護記録や医療機関への付添い記録などが証明に有効です。
参考)https://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku/566-tokubetsuenkosha-isansouzoku-souzokuzei-kaisetsu/
特別縁故者の申立ては年間約1000件あり、そのうち850件以上が認容されている状況からも分かるように、適切な証拠を揃えれば認定される可能性は高いといえます。
特別縁故者への相続財産分与の審判に対しては、申立人または相続財産清算人が即時抗告を行うことができます。審判告知日から2週間以内という期間制限があり、この期間を過ぎると審判が確定します。
参考)https://www.houki-r.com/06qa_37.html
即時抗告が提起された場合、抗告審は高等裁判所が行い、審判を取り消して新たに分与審判をすることも可能です。複数の申立人がいる併合審判においては、一人の申立人または清算人による即時抗告が全員に対して効力を及ぼすため、他の申立人の審判確定も遅延することになります。
参考)https://nao-lawoffice.jp/souzoku/columns/heritage/2086/
審判が却下された場合も、申立人は即時抗告を行うことができます。却下の理由として申立期間の徒過、特別縁故者に該当しない、分与が相当でない等の判断がなされますが、証拠の補強により覆る可能性もあります。
特別縁故者への財産分与の審判が確定したら、相続財産清算人から特別縁故者に対して審判で定められた財産が引き渡されます。この際、家事審判法16条、民法644条、646条、647条、650条の規定に従って手続きが進行されます。
参考)https://www.shinginza.com/db/01228.html
審判確定後の分与は、全部分与の審判、一部分与の審判のいずれかの形で行われます。審判内容に応じて、相続財産全体または一部の財産について実際の引き渡しが実行されます。
参考)https://osd-souzoku.jp/tokubetuenko-tetuduki/
相続財産清算人は審判の内容に従い、不動産については所有権移転登記手続き、預貯金については名義変更手続きを行います。複雑な財産構成の場合は、適切な換価処分を経て金銭による分与も行われます。
参考)https://souzoku-soleil.jp/column/1404.html
特別縁故者として財産を取得した場合の相続税申告期限は、通常の相続とは異なる特別な扱いを受けます。家庭裁判所の分与審判が確定した日の翌日から10カ月以内が申告期限となり、これは通常の「相続が開始したことを知った日の翌日から10カ月以内」とは異なる基準です。
参考)https://www.oag-tax.co.jp/souzokuzei/column/special-relatives-8084/
特別縁故者への財産分与がされる前提として、相続人が0人であるため、基礎控除額は3000万円となります。この金額を超える財産を取得した場合は、相続税の申告と納税が必要です。
参考)https://osaka-alg.com/souzoku/column_taishou/tokubetsu-enkosha/
申告や納税が1日でも遅延すると延滞税が課されるため、審判確定後は速やかに税理士等の専門家に相談することが重要です。特別縁故者制度による財産取得は、相続ではなく財産分与として扱われるため、税務処理には専門的な知識が必要となります。
参考)https://xn--alg-cb3h46z.com/houteisouzoku/tokubetsu-enkosha/
特別縁故者に対する相続財産分与の申立期間は、家庭裁判所の相続財産清算人選任及び相続権主張の催告公告期間満了後3ヶ月以内という厳格な制限があります。相続財産清算人が、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを考えている方に申立期間を連絡する義務はなく、家庭裁判所からも通知されません。
参考)https://www.courts.go.jp/osaka/vc-files/osaka/2023nendo/kasai_kajibu/zaisankanri/tokubetsuenko/tokubetsuenko_tebiki.pdf
相続財産清算人の選任から特別縁故者への財産分与まで、複数の公告期間を挟むため、全体で約1年程度の長期間を要します。相続財産清算人選任の申立、2ヶ月の公告期間、相続債権者・受遺者への請求申出催告、さらに2ヶ月の期間、相続人捜索公告で6ヶ月、その後3ヶ月以内に特別縁故者申立というスケジュールです。
特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを考えている方は、自ら相続財産清算人を選任した家庭裁判所に対し、相続財産清算人選任後概ね2~3ヶ月後を目途に申立期間を確認する必要があります。