空き家税マンション導入事例と影響

空き家税マンション導入事例と影響

京都市や神戸市で導入検討されている空き家税がマンション所有者に与える影響と対策について、最新の制度概要から実務への影響まで詳しく解説します。所有マンションの税負担は今後どう変わる?

空き家税マンション制度概要と導入状況

空き家税マンション制度の要点
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京都市の非居住住宅利活用促進税

2026年度導入予定、固定資産税評価額の0.7%を課税

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神戸市のタワマン空室税

全国初のタワーマンション限定課税を検討中

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課税対象と税額

1年以上非居住の住宅、年数万円~十数万円の追加負担

空き家税マンション課税の法的根拠と仕組み

京都市で2026年度から導入予定の「非居住住宅利活用促進税」は、日本初の空き家税として注目を集めています。この制度は1年以上使用されていない非居住住宅に対し、固定資産税評価額の0.7%を固定資産税に上乗せして課税するものです。
マンションの場合、分譲マンションの各戸が課税対象となり、住民票の有無に関わらず実際に居住していない空き部屋が対象となります。例外として、導入から5年間は固定資産税評価額が100万円未満の建物は課税対象外とされています。
課税の仕組みとしては以下のような計算になります。

 

  • 固定資産税評価額2,000万円の場合:2,000万円×0.7%=14万円/年の追加課税
  • 固定資産税評価額1,500万円の場合:1,500万円×0.7%=10万5,000円/年の追加課税
  • 固定資産税評価額1,000万円の場合:1,000万円×0.7%=7万円/年の追加課税

この課税は市町村税の法定外税として位置づけられ、市議会での条例制定と国の同意が必要となる複雑な法的手続きを経て実現されます。

空き家税マンション対象物件の判定基準

空き家税の対象となるマンションの判定基準は、単純に住民票の有無だけでは決まりません。京都市の制度では、以下の要件を満たす物件が課税対象となります:
居住実態による判定

  • 1年以上継続して使用されていない住宅
  • 住民票の有無に関係なく、実際の居住実態で判断
  • 年間を通じて生活の拠点として使用されていない物件

対象となる物件種別

  • 空き家(戸建て・マンション問わず)
  • 別荘・セカンドハウス
  • 投資目的で購入後放置されているマンション
  • 相続により取得したが活用されていない物件

特にマンションでは、投資目的で購入したものの賃貸に出さずに放置している物件や、相続により取得したが管理が行き届いていない物件が課税対象となりやすい傾向があります。

 

判定の実務的な流れとしては、自治体が住民基本台帳や電気・ガス・水道の使用実績、近隣住民からの情報などを総合的に勘案して非居住状態を認定します。マンション管理会社や管理組合からの情報提供も判定材料として活用される可能性があります。

空き家税マンション導入自治体の具体例

現在、空き家税の導入を進めている自治体は京都市が先駆けとなり、神戸市がタワーマンションに特化した制度検討を進めています。

 

京都市の事例
京都市では2022年3月に条例が可決され、2026年度からの課税開始が予定されています。対象物件は市街化区域内の非居住住宅で、見込まれる税収は年間約10億円とされていますが、徴収コストに年間2億円以上かかるとの試算もあります。
課税対象は全体の空き家の約1割程度と想定されており、特に投資目的で購入されたマンションや別荘、相続により取得された物件が中心となる見込みです。
神戸市の取り組み
神戸市では2025年5月30日に有識者会議を設置し、タワーマンションの空室に対する課税を検討開始しました。特に40階以上の高層階では空室率が30%を超えており、管理組合の合意形成や適切な修繕実施に支障をきたすケースが増加しているため、全国初のタワーマンション限定課税制度として注目されています。
神戸市の制度は、空室税の収入をマンション管理の専門家派遣や防災・防犯設備の整備費用に充てる方針で、単なる税収確保ではなく適正管理の促進を重視した内容となっています。
他自治体への波及効果
京都市と神戸市の動向は他の自治体にも大きな影響を与えており、空き家問題を抱える地方都市や観光地を中心に同様の制度導入を検討する動きが広がっています。特に人口減少と空き家増加が深刻な地域では、税制による空き家活用促進策として関心を集めています。

 

空き家税マンション所有者への実務的影響

空き家税の導入は、マンション所有者の実務面に多大な影響を与えることが予想されます。特に投資用マンションや相続物件を所有する不動産オーナーにとっては、保有コストの大幅な増加が避けられません。

 

保有コスト増加の具体例
従来のマンション保有では固定資産税と都市計画税のみでしたが、空き家税導入により年間の税負担が大幅に増加します。

 

  • 固定資産税評価額2,000万円のマンションの場合
  • 従来:固定資産税28万円+都市計画税6万円=年34万円
  • 空き家税導入後:従来分34万円+空き家税14万円=年48万円

この14万円の追加負担は、賃料収入がない状況では純粋なコスト増となり、投資収益性を大きく悪化させます。

 

管理実務への影響
空き家認定を避けるため、マンション所有者は以下の対応が必要となります。

 

  • 定期的な利用実績の作成と保管
  • 電気・ガス・水道の基本使用量確保
  • 近隣住民や管理組合への適切な情報提供
  • 賃貸活用や売却の積極的検討

特に管理組合運営においては、空室所有者への連絡や意思決定参加の促進が重要課題となり、管理会社の業務負担も増加することが予想されます。
売却・賃貸市場への波及
空き家税導入により、対象マンションの売却や賃貸活用が促進される一方で、課税リスクを嫌う投資家の購入意欲減退も懸念されています。これにより中古マンション価格の二極化が進む可能性があり、立地や管理状況による価格差がさらに拡大することが予想されます。

 

空き家税マンション対策と今後の展望

空き家税の導入に備え、マンション所有者が取るべき対策と、制度の今後の展望について詳しく解説します。

 

所有者が取るべき対策
マンション所有者は空き家税の課税を避けるため、以下の対策を講じることが重要です。

 

  • 賃貸活用の検討:空室状態を解消する最も効果的な方法として、賃貸市場への投入を検討。家賃収入により税負担をカバーできる可能性があります。
  • 定期的な使用実績の作成:完全に空室でも、定期的な清掃や設備点検、一時的な滞在などの使用実績を記録することで非居住認定を回避できる場合があります。
  • 売却の検討:保有継続のメリットが少ない場合は、早期売却により税負担とリスクを回避。特に相続物件では積極的な検討が推奨されます。
  • 管理体制の強化:管理組合での積極的な活動参加や、管理会社との連携強化により適正管理をアピール。

不動産市場への長期的影響
空き家税の導入は不動産市場全体に以下の変化をもたらすと予想されます。

 

  • 投資用マンション市場の縮小:課税リスクにより投資家の参入が減少し、投資用マンションの需要低下が進行
  • 賃貸市場の活性化:空室放置のコスト増により、賃貸活用が促進され賃貸供給量が増加
  • 管理業界の変化:空き家税対応業務の増加により、管理会社の業務内容とサービス料金の見直しが進行

制度の全国展開予想
京都市と神戸市の成果を受けて、他の自治体でも同様の制度導入が加速すると予想されます。特に以下の地域での導入可能性が高いとされています。

 

  • 観光地として別荘需要が高い軽井沢、箱根、熱海などのリゾート地
  • 人口減少が深刻で空き家率の高い地方中核都市
  • タワーマンション建設が進む首都圏の湾岸エリア

制度設計においては、京都市の固定税率方式から、空室期間や立地条件に応じた段階課税方式への発展も検討されており、より柔軟で実効性の高い制度への進化が期待されています。

 

不動産従事者としては、これらの変化を先取りし、クライアントへの適切なアドバイスと新たなビジネス機会の創出を図ることが重要となります。特に空き家活用コンサルティングや税務対策サービスなど、新たな需要に対応したサービス展開が求められる時代となっています。