
不動産リースバック取引は、所有する不動産を第三者に売却し、その後同じ不動産を借り受ける取引形態です。企業にとって重要な資金調達手段の一つとして活用されています。
この取引は、セール・アンド・リースバック取引とも呼ばれ、売買取引とリース取引が組み合わされた複合取引として位置づけられます。企業は不動産の売却により資金調達を行いながら、継続して同じ物件を使用できるという特徴があります。
取引の流れは以下のとおりです。
不動産リースバック取引の会計処理を適切に行うためには、まずリース取引の区分を正確に判定する必要があります。リース取引は「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」に分類され、それぞれ会計処理方法が大きく異なります。
ファイナンス・リース取引の判定要件
オペレーティング・リース取引の特徴
この区分判定は、実際の契約条件を詳細に検討して行う必要があり、判定を誤ると会計処理全体に重大な影響を与えます。
ファイナンス・リース取引に該当する場合、会計処理は「物件売却時点」と「リース開始時点」に分けて行います。
物件売却時の会計処理例
取得価格3,000万円の建物(減価償却累計額1,800万円)を900万円で売却した場合。
借方 | 貸方 |
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当座預金 | 900万円 |
減価償却累計額 | 1,800万円 |
長期前払費用 | 300万円 |
売却損は「長期前払費用」として処理し、売却益が生じた場合は「長期前受収益」として計上します。
リース開始時の会計処理例
リース料月額18万円、契約期間5年、割引現在価値870万円の場合。
借方 | 貸方 |
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リース資産 | 870万円 |
リース債務 | 18万円 |
リース料は前払いが一般的なため、初回支払時には支払利息は発生しません。2回目以降の支払時には支払利息も計上する必要があります。
オペレーティング・リース取引に該当する場合、会計処理はより簡素になります。
物件売却時の処理
通常の不動産売却と同様の会計処理を行いますが、売却損益は繰延処理が必要です。
借方 | 貸方 |
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当座預金 | 売却価額 |
(減価償却累計額) | 累計額 |
長期前払費用(売却損の場合) | 損失額 |
リース料支払時の処理
シンプルに賃借料として費用計上します。
借方 | 貸方 |
---|---|
賃借料 | リース料額 |
オペレーティング・リース取引では、リース資産・リース債務を貸借対照表に計上する必要がありません。
不動産リースバック取引において、会計処理と税務処理には重要な相違があります。この違いを正確に理解し、適切な申告調整を行うことが実務上極めて重要です。
会計処理の考え方
税務処理の考え方
この相違により、会計上は売却益を繰延処理しても、税務上は当期の益金として課税されるため、税会不一致が発生します。
実務対応のポイント
特に大規模な不動産リースバック取引の場合、税会差異の金額が重要になるため、事前の検討と継続的な管理が不可欠です。
また、固定資産税については、所有権移転により買手(貸手)が納税義務を負うことから、リース料設定時にこの負担が考慮されるのが一般的です。
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新リース会計基準における不動産リースバック取引の取扱い