
支払利息は金融機関や第三者からの借入金に対して発生する利息で、会計上は営業外費用として分類されます 。借入金の返済において、元本部分は負債の減少として処理され経費にはなりませんが、利息部分については支払利息として経費計上が可能です 。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/66470/
支払利息の対象となる項目は以下の通りです。
支払利息は損益計算書の営業外費用のカテゴリーに属し、本業以外で発生した費用として記載されます 。借入金を分割返済する場合、元金均等返済方式では「借入金残高×金利」のシンプルな計算で利息を算出できますが、元利均等返済方式では毎回の返済額を均等にするため計算式がより複雑になります 。
法人と個人事業主では、支払利息の会計処理に重要な違いがあります。法人の場合、不動産取得や建物建設に関連する借入金利息について、取得原価に含める方法と発生時に支払利息として経費計上する方法のいずれかを選択できます 。
参考)https://mihoodatax.com/482/
個人事業主の場合、建築前に支払った利息は物件の取得価額に含めて固定資産として計上しなければなりません 。ただし、不動産賃貸業で取得する物件の場合、2棟目からは支払利息として経費計上する方法を選択することができる特例があります 。
参考)https://www.shibuya-zei.jp/2024/04/22/17967/
不動産事業では開発が長期間に渡り多額の資金を必要とするため、一定の条件を満たす場合においては監査において借入金の支払利子を原価算入することが妥当と取り扱われることが多く、プロジェクト別での集計が行われます 。
参考)https://www.ids-soft.co.jp/brand/2024/08/27/fundraising-30/
不動産投資において支払利息を費用として計上する際には、特別な税務規定があります。不動産投資ローンの金利にあたる利息部分は、基本的に経費として扱うことができますが、不動産所得が赤字の場合は注意が必要です 。
参考)https://landnet.co.jp/redia/10110/
不動産所得が赤字になった場合、土地の取得にかかる借入金の金利部分については損益通算の対象にはならないという規定があります 。損益通算とは、事業所得や不動産所得で赤字が発生した場合に、給与所得などの他の所得から赤字分を差し引く制度です。
土地に関する借入金の支払利息の計算方法。
今期の金利×(当初の借入金額-建物の取得代金)÷当初の借入金額
自己資金がある場合は、優先的に土地の取得代金に充てたと考えることで、土地に関わる借入金の金利額を低くし、損益通算の対象額を増やすことができます 。
支払利息は経費として計上できるため、所得税や法人税の節税効果があります 。ただし、選択する返済方式によって経費計上額が大きく変わるため、戦略的な選択が重要です。
元利均等返済方式では、借り入れ当初は返済額における金利の割合が高く、経費として計上できる金利の額が大きくなります。一方、元金均等返済方式では借入期間が同じ場合の総返済金額が少なくなるため、経費に計上できる金利の額も少なくなります 。
返済方式別の特徴:
借入額2,000万円、返済期間15年、金利2%のケースでは、元利均等返済の総利息額は約520万円、元金均等返済は約480万円となり、約40万円の差が生じます 。
支払利息の処理において、実務上注意すべき点がいくつかあります。まず、建設仮勘定に含めた借入金利息については、固定資産の取得価額に含められるため、完成時に利息相当額を損金に算入することはできません 。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400_qa.htm
また、個人事業主の場合、事業用と私用が混在する借入については家事按分が必要です 。事業利用分のみを利子割引料として計上し、私的利用分は「事業主貸」として処理する必要があります。
参考)https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/79996/
実務での重要ポイント:
支払利息は消費税の非課税取引であり、仕入税額控除の対象にもならないため 、消費税計算においても適切な処理が求められます。