育児介護休業法改正2025をわかりやすく

育児介護休業法改正2025をわかりやすく

2025年4月から段階的に施行される育児介護休業法改正について、子の看護休暇の拡充やテレワーク義務化、介護離職防止策など重要なポイントをわかりやすく解説。企業と従業員の両方にとってどのような変化があるのでしょうか?

育児介護休業法改正2025のポイント

2025年育児介護休業法改正の全体像
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育児支援の拡充

子の看護等休暇が小学3年生まで延長、テレワーク制度の義務化・努力義務化

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介護離職防止強化

雇用環境整備の義務化、個別周知・意向確認の実施義務

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公表義務の拡大

従業員300人超企業への育休取得状況公表義務の適用拡大

2025年4月1日から段階的に施行される育児介護休業法の改正は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できる社会の実現を目指した大規模な制度変更です 。改正内容は2025年4月施行分と2025年10月施行分の2段階に分かれており、全部で11項目の重要な変更が含まれています 。
参考)https://hr.dentsusoken.com/column/1398/

 

この改正の背景には、少子高齢化社会における働き方改革の推進と、介護離職問題の深刻化があります 。特に、従来の制度では十分にカバーできていなかった小学校就学後の子育て支援や、介護に直面した労働者への支援体制の強化が重要な柱となっています 。

育児介護休業法改正の子の看護等休暇拡充内容

2025年4月1日から、従来の「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」として大幅に拡充されます 。最も重要な変更点は、対象となる子の年齢が「小学校就学前まで」から「小学校3年生修了まで」に延長されることです 。
参考)https://romsearch.officestation.jp/news/49402

 

対象事由も大幅に拡大され、従来の病気やケガの世話に加えて、以下の事由が新たに追加されます。

  • 学級閉鎖や学校の臨時休業への対応
  • 入学式・卒園式等の学校行事への参加
  • 予防接種や健康診断の受診付き添い

また、労使協定による除外規定も見直され、従来の「継続雇用期間6カ月未満の労働者」の除外規定が撤廃されます 。これにより、入社したばかりの労働者でも子の看護等休暇を取得できるようになり、より多くの従業員が制度を利用できます 。
参考)https://www.hitachi-solutions.co.jp/lysithea_job/column/hild-nursing-leave-2025-revision.html

 

取得可能日数は子1人につき年5日、2人以上の場合は年10日で変更はありませんが、時間単位での取得も引き続き可能です 。ただし、有給か無給かは企業の判断に委ねられており、就業規則での明確な定めが必要です 。
参考)https://www.sato-group-sr.jp/portal/archives/2237

 

育児介護休業法改正のテレワーク制度義務化と努力義務

2025年4月から、テレワーク制度に関する新たな義務と努力義務が導入されます 。まず、3歳未満の子を養育する労働者の短時間勤務制度において、労使協定により短時間勤務が困難な業務に従事する労働者を適用除外とした場合の代替措置に、テレワークが新たに追加されます 。
参考)https://hq-hq.co.jp/articles/250415_209

 

代替措置の選択肢は以下のように拡充されます。

  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • フレックスタイム制
  • 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤)
  • 保育施設の設置・運営等
  • テレワーク(新規追加)

    参考)https://jpn.nec.com/king-of-time/column/202507/02.html

     

さらに、3歳未満の子を養育する労働者が育児のためのテレワークを選択できるよう、事業主が措置を講じることが努力義務化されます 。このテレワーク制度は、通勤時間の削減等を通じて仕事と育児の両立を容易にすることを目的としており、具体的な制度内容(利用可能頻度等)は企業が自由に決めることができます 。
参考)https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/bowac/childcare.html

 

要介護状態の対象家族を介護する労働者に対しても、同様にテレワークの選択肢を提供することが努力義務として定められており、介護との両立支援も強化されています 。
参考)https://www.tis.amano.co.jp/hr_news/4274/

 

育児介護休業法改正の残業免除対象拡大と柔軟な働き方

2025年4月から、所定外労働の制限(残業免除)の対象が大幅に拡大されます 。従来は3歳未満の子を養育する労働者のみが対象でしたが、改正後は「小学校就学前(6歳)までの子を養育する労働者」まで対象が拡大されます 。
この改正により、小学校入学前の子どもを持つ保護者は、残業や休日出勤を断ることができるようになり、より柔軟な働き方が可能になります 。労働者が請求した場合、事業主は原則として所定外労働をさせることができません 。
さらに2025年10月からは、「柔軟な働き方を実現するための措置」が新たに義務化されます 。3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、事業主は以下5つの措置から2つ以上を選択して講じる必要があります:
参考)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/point02.html

 

  1. フレックスタイム制等の柔軟な労働時間制度
  2. テレワーク等の場所的制約のない働き方
  3. 短時間勤務制度
  4. 新たな休暇の付与
  5. その他働きやすい環境整備

労働者は事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができ、事業主は過半数組合等からの意見聴取や労働者への個別周知・意向確認も義務付けられます 。
参考)https://uenishi-sr.jp/20241021-2/

 

育児介護休業法改正の介護離職防止策強化

2025年4月から、介護離職防止のための支援制度が大幅に強化されます 。事業主には新たに「雇用環境整備」と「個別の周知・意向確認」が義務付けられ、介護に直面した労働者への支援体制の構築が求められます 。
参考)https://workid.jp/2025/02/21/%E3%80%902025%E5%B9%B44%E6%9C%88%E3%80%91%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E9%9B%A2%E8%81%B7%E9%98%B2%E6%AD%A2%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%8C%E7%99%BA/

 

雇用環境整備では、以下のいずれかの措置を講じることが義務化されます。

  • 研修の実施(全従業員対象が望ましく、最低限管理職は必須)
  • 相談窓口の設置
  • 介護制度に関する情報提供や啓発活動

研修内容には、介護に対する事前の心構え、仕事と介護の両立のためのポイント、介護休業・介護両立支援制度等の活用方法などが含まれます 。
個別の周知・意向確認については、介護に直面した労働者から申出があった場合に、制度の具体的内容や利用方法を個別に説明し、労働者の意向を確認することが義務付けられます 。これにより、労働者が介護制度を適切に活用できるよう支援体制が強化されます。
介護休暇の取得要件も緩和され、労使協定により除外できる「継続雇用期間6カ月未満の労働者」の規定が撤廃されるため、働きはじめたばかりの労働者も介護休暇を取得しやすくなります 。
参考)https://www.office-expo.jp/hub/ja-jp/blog/article-7.html

 

育児介護休業法改正の育休取得状況公表義務拡大

2025年4月1日から、育児休業取得状況の公表義務の適用範囲が大幅に拡大されます 。従来は従業員1,000人超の企業のみが対象でしたが、改正後は「常時雇用する労働者が300人超」の企業まで対象が拡大されます 。
参考)https://www.ricoh.co.jp/magazines/workstyle/column/kaisei-ikukyu/

 

「常時雇用する労働者」の定義は以下の通りです。

  • 期間の定めなく雇用されている者
  • 過去1年以上引き続き雇用されている者
  • 雇入れから1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

    参考)https://sharo-shi.gifu.jp/news/detail_499.html

     

公表すべき内容は、男性労働者の育児休業等の取得状況で、年1回の公表が義務付けられます 。公表方法はインターネット等の一般の方が閲覧できる方法で行う必要があり、厚生労働省運営の「両立支援のひろば」での公表が推奨されていますが、自社ホームページでの公表も可能です 。
初回公表期限は、公表前事業年度終了後おおむね3カ月以内とされており、該当企業は早急に公表準備を進める必要があります 。この制度により、企業の育児休業取得促進への取り組みが可視化され、男性の育児参画促進が期待されます 。
公表義務の拡大により、中規模企業においても男性の育児休業取得率向上への意識が高まり、職場環境の改善や両立支援制度の充実が進むことが予想されます 。企業にとっては人材確保や企業イメージ向上の観点からも重要な取り組みとなります。