労災保険と雇用保険の違いと仕組み

労災保険と雇用保険の違いと仕組み

労災保険と雇用保険の違いを理解していますか?加入条件や給付内容、保険料負担の違いなど、働く人が知っておくべき基本的な仕組みを解説しています。あなたは正しく理解できていますか?

労災保険と雇用保険の違いと仕組み

労災保険と雇用保険の違いと仕組み
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労災保険の特徴

業務上・通勤中の災害を補償し、保険料は事業主が全額負担

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雇用保険の特徴

失業や育児休業時の生活を支援し、保険料は労使で負担

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加入条件の違い

労災は全労働者、雇用保険は週20時間以上かつ31日以上雇用見込み

労災保険と雇用保険は、どちらも労働保険として一緒に管理されることが多いですが、その仕組みや目的は全く異なります 。労災保険は業務中や通勤中の事故・病気による労働者の補償を目的とし、雇用保険は失業時や育児・介護休業時の生活保障を目的としています 。
参考)https://hitorioyakata.or.jp/blog/104

 

両制度の最大の違いは、補償の対象と範囲です。労災保険は労働災害に特化しているのに対し、雇用保険は雇用の安定と促進に関わる幅広い給付を行っています 。また、保険料の負担方法も大きく異なり、労災保険は事業主が全額負担するのに対し、雇用保険は労働者と事業主が分担して負担します 。
参考)https://www.roudousaigai.jp/columns/5622/

 

労災保険の加入条件と適用範囲

労災保険は、業種や雇用形態を問わず、1人でも労働者を雇用する事業所に強制適用される制度です 。正社員はもちろん、パートやアルバイト、日雇い労働者なども含まれ、労働時間の長さや契約期間に関係なく、すべての労働者が対象となります 。
参考)https://www.sompo-japan.co.jp/hinsurance/master_plus/master_plus-article-1/

 

特に注目すべき点は、労災保険には労働時間による制限がないことです 。週1日しか働かない短時間労働者でも、業務中や通勤中に災害が発生すれば労災保険の給付対象となります。これは、働く時間の長短に関わらず、労働によって災害に遭うリスクがあるためです 。
参考)https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/91262/

 

個人事業主については、本来は労災保険の対象外ですが、特別加入制度を利用することで労災保険に加入できます 。2024年11月からは、フリーランスも特定の条件を満たせば特別加入が可能となり、適用範囲が大幅に拡大されました 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00010.html

 

雇用保険の加入条件と労働時間制限

雇用保険の加入には、労災保険と異なり明確な労働時間と雇用期間の条件があります 。加入要件は以下の通りです:
参考)https://hataluck.jp/column/store-management/conditions/

 

週の所定労働時間が20時間以上であること
31日以上の雇用見込みがあること
・学生でないこと(一部例外あり)
この条件により、短時間のパートやアルバイトでは雇用保険に加入できない場合があります 。例えば、週15時間しか働かないパート労働者は、31日以上の雇用見込みがあっても雇用保険の対象外となります。
また、雇用保険の対象となる「労働者」は、労働の対価として賃金を受ける者に限定されており、個人事業主や役員は原則として加入できません 。ただし、一定の条件を満たす役員については例外的に加入が認められる場合もあります。
参考)https://www.nissay.co.jp/kojin/contents/article/0040/

 

労災保険の給付内容と補償範囲

労災保険の給付は、業務災害通勤災害の2つに大別されます 。業務災害とは、労働者が業務を原因として負った負傷・疾病・障害・死亡を指し、通勤災害とは所定の移動中における災害を指します。
主な給付内容は以下の通りです。
療養(補償)給付:治療費の全額給付(自己負担なし)
休業(補償)給付:給付基礎日額の60%(特別支給金20%含めて80%)
障害(補償)給付:障害等級に応じた年金または一時金
遺族(補償)給付:遺族数に応じた年金または一時金
労災保険の大きな特徴は、治療費が全額給付されることです 。健康保険のような自己負担分がなく、労働災害による治療については完全に無料で受けることができます。また、休業補償についても、賃金の約8割が保障されるため、労働者の生活の安定が図られています。

雇用保険の基本手当と給付率システム

雇用保険の代表的な給付である基本手当(失業手当)は、離職前の賃金に基づいて計算されます 。基本手当日額は、賃金日額に年齢ごとの給付率(50~80%)を乗じて算出されます。
参考)https://hoken.zexy.net/money/lifeplanning/life25.html

 

給付率の特徴として、賃金が低い人ほど高い給付率が適用される仕組みになっています 。これにより、低所得者の生活保障がより手厚くなるよう配慮されています。具体的な給付率は以下の通りです:
・29歳以下:賃金日額に応じて50~80%
・30~44歳:賃金日額に応じて50~80%
・45~59歳:賃金日額に応じて50~80%
・60~64歳:賃金日額に応じて45~80%
また、雇用保険には基本手当以外にも、育児休業給付金介護休業給付教育訓練給付金など、雇用の安定と促進に関する多様な給付制度があります 。これらの給付により、労働者のライフステージに応じた支援が行われています。

労働保険料の負担割合と事業主責任

労災保険と雇用保険では、保険料の負担方法が大きく異なります 。労災保険料は事業主が全額負担するのに対し、雇用保険料は労働者と事業主が分担して負担します。
参考)https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/57784/

 

労災保険料の負担割合。
事業主:100%(労働者負担なし)
・保険料率は業種により0.25%~8.8%と大きく異なる
雇用保険料の負担割合。
労働者:失業等給付分の保険料率
事業主:失業等給付分+雇用保険二事業分の保険料率
・事業主負担の方が労働者負担より重い
この負担方法の違いは、各制度の目的と性質を反映しています 。労災保険は事業主の安全配慮義務の一環として位置づけられているため全額事業主負担となっており、雇用保険は労働者の雇用安定のための相互扶助制度として労使が分担しています。
参考)https://officenomikata.jp/coverage/14396/

 

労働保険料は年度更新により毎年精算され、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を同時に申告・納付する仕組みとなっています 。事業主は適切な保険料計算と納付を行うことで、労働者の安全と雇用の安定を支える重要な責任を担っています。