
戸籍の附票は、本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管されている重要な書類です 。この附票には、その戸籍が作られてから現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています 。住所変更のたびに記録が更新され、過去の住所がすべて確認できる仕組みになっており、複数回の引越し履歴を証明する際に不可欠な書類として活用されています 。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369854.html
令和4年1月11日から住民基本台帳法の改正により、戸籍の附票の写しには「性別」と「生年月日」が新たに記載されるようになりました 。一方で、原則として「本籍・筆頭者」及び「在外選挙人登録地」の記載は省略されるため、これらの項目の記載を希望する場合は、証明書申請時に申出る必要があります 。この変更により、戸籍の附票は身分証明書としての機能も強化されています 。
参考)https://www.city.okazaki.lg.jp/1100/1101/1114/p004610.html
住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)により、戸籍の附票の除票および改製原附票の保存期間が従来の5年間から150年間に大幅延長されました 。ただし、平成26年3月31日以前に除票及び改製原附票となった戸籍の附票については、保存期間を経過し既に廃棄されているため、交付できない場合があることに注意が必要です 。
戸籍の附票は原則として本籍地の市区町村でのみ取得可能であり、本籍地以外の自治体では直接取得することができません 。これは戸籍制度の根幹に関わる重要な原則で、戸籍の附票が本籍地で管理されている戸籍原本と一体的に保管されているためです 。本籍地が遠方にある場合は、該当する本籍地の市区町村に直接請求する必要があり、窓口での申請または郵送による請求が可能です 。
参考)https://www.city.okayama.jp/faq/faq_detail.php?frmId=676
ただし、戸籍法の改正により、令和6年3月1日から戸籍証明書等の広域交付が開始されており、一部の戸籍関係書類については本籍地以外でも取得可能になっています 。しかし、戸籍の附票については現時点でもこの広域交付の対象外となっているため、従来通り本籍地での取得が必要です 。このため、本籍地が不明な場合は、まず住民票の写しを本籍地記載ありで取得し、本籍地を確認してから戸籍の附票を請求する手順を踏む必要があります 。
参考)https://www.city.muko.kyoto.jp/site/shinsei/1464.html
本籍を変更(転籍)している場合には特に注意が必要で、現在の戸籍の附票には現在の本籍にした日以降の住所しか記録されていません 。証明を必要とする住所まで遡ることができない場合は、転籍前の本籍地で除附票を取得する必要があり、複数の本籍地での手続きが必要になる場合があります 。
参考)https://office-yamanami.com/2024/11/17/%E6%88%B8%E7%B1%8D%E3%81%AE%E9%99%84%E7%A5%A8%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E8%A4%87%E6%95%B0%E5%9B%9E%E3%81%AE%E5%BC%95%E8%B6%8A%E3%81%97%E3%82%92%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84/
マイナンバーカードを所有している場合、戸籍の附票の写しを全国のコンビニエンスストア等で24時間365日取得することが可能です 。このサービスは令和5年1月4日から開始されており、本籍地が遠方であっても、マイナンバーカードさえあれば最寄りのコンビニで戸籍の附票を取得できる画期的なシステムです 。コンビニ交付の利用には、マイナンバーカードに利用者証明用電子証明書(数字4桁の暗証番号)が搭載されている必要があります 。
参考)https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/todokede/oshirase/huhyoutuika230104.html
コンビニ交付サービスを利用できるのは、本人及び同一戸籍に記載されている方に限定されており、代理人による取得はできません 。取得可能な時間帯は基本的に午前6時30分から午後11時までで、年末年始やメンテナンス時間は除外されます 。手数料は窓口交付よりも安く設定されている場合が多く、例えば大阪市では窓口が300円に対してコンビニ交付は250円となっています 。
参考)https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000028164.html
本籍と住民票の両方が同一市区町村にある場合は、より便利にサービスを利用できますが、本籍地のみが該当市区町村にある場合は、事前に利用登録申請が必要になる場合があります 。また、コンビニ交付では現在有効な戸籍の附票のみが取得可能で、除票や改製原附票は取得できないため、古い住所履歴が必要な場合は本籍地の役所に直接請求する必要があります 。
参考)https://www.city.kobe.lg.jp/a53715/kurashi/registration/shomeisho/13_huhyo.html
戸籍の附票の請求には、本籍と筆頭者の氏名が必要となるため、事前に確認しておくことが重要です 。請求書には正確な本籍地(番地まで)と筆頭者の氏名を記載する必要があり、情報が不足すると発行されない場合があります 。窓口での申請時には、申請者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)の提示が必要で、本人確認書類の提示を拒否された場合は交付がお断りされる場合があります 。
参考)https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/todokede/kakushushoumei_shotoku/shomeishoseikyu.html
請求できる人は法律で厳格に定められており、本人・配偶者・同一戸籍に記載のある者・直系の尊属(父母や祖父母)及び卑属(子や孫)に限定されています 。ただし、婚姻後の兄弟姉妹の戸籍附票は請求できないため注意が必要です 。代理人による請求の場合は委任状が必要で、第三者や法人が請求する場合は、自己の権利の行使または義務の履行などの正当な請求理由がない場合は交付できません 。
手数料は1通につき300円が標準的な金額ですが、自治体によって若干の違いがあります 。郵送による請求の場合は、請求書、本人確認書類のコピー、手数料分の定額小為替、返信用封筒(宛先記載・切手貼付済み)を同封して送付します 。申請から受け取りまでに数日から数週間かかる場合があるため、急ぎの場合は事前に処理期間を確認することが推奨されます 。
参考)https://sozoku-navi.jp/column/souzokutetuduki/1147/
戸籍の附票は住所履歴の証明において極めて重要な役割を果たしており、金融機関での口座開設や住宅ローン申請、保険契約、不動産取引など多岐にわたって活用されています 。特に複数回の引越しを経験している場合、住民票では直前の住所しか確認できませんが、戸籍の附票では戸籍が作成されてからの全ての住所変更履歴を一度に証明することができます 。相続手続きにおいても、被相続人の住所履歴を証明するために戸籍の附票が頻繁に使用されています 。
参考)https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/faq/5000002/5000003/5000014/5001452.html
ただし、本籍を変更している場合には制約があり、現在の戸籍の附票には現在の本籍になった日以降の住所しか記載されません 。このため、転籍前の住所まで遡って証明する必要がある場合は、転籍前の本籍地で除附票を別途取得する必要があり、手続きが複雑になる場合があります 。結婚により戸籍が変更されている場合は、結婚前の親の戸籍等での附票取得も検討する必要があります 。
参考)https://www.city.minamiawaji.hyogo.jp/soshiki/shimin/faq-7958.html
戸籍の附票が改製(作り替え)された場合も注意が必要で、改製前の住所は新しい附票には記載されません 。例えば、神戸市では2004年から2008年にかけて戸籍のコンピュータ化による改製を行い、附票も改製されているため、改製日以降の住所のみが証明可能となっています 。このような制約を理解した上で、必要な住所履歴をすべて証明するための適切な書類組み合わせを検討することが重要です 。