構造計算適合性判定いつから
構造計算適合性判定制度の導入と変遷
📅
平成19年6月20日から開始
構造計算書偽装問題を受けて建築基準法が改正され、構造計算適合性判定が義務化
⚖️
二重チェックシステムの構築
建築主事等の審査に加え、第三者機関による専門的な構造計算審査を実施
🔄
平成27年6月から申請方法変更
建築主による直接申請制度に移行し、審査の効率化と円滑化を実現
構造計算適合性判定平成19年6月20日導入背景
構造計算適合性判定制度は平成19年6月20日から正式に施行されました。この制度導入の最大のきっかけとなったのは、平成17年11月に発覚した姉歯元建築士をはじめとする構造計算書偽装事件です。
この事件は建築業界に大きな衝撃を与え、建築物の構造安全性に対する国民の信頼を大きく揺るがしました。事件の重大性を受けて、政府は平成18年6月に建築基準法等の一部改正を行い、建築確認・検査の厳格化を図りました。
建築基準法改正の主な目的。
- 構造計算書偽装の再発防止
- 建築物の安全性確保の強化 🏢
- 建築確認審査制度の信頼性向上
- 専門的な構造計算審査体制の構築
制度導入により、従来の建築主事等による審査に加えて、第三者機関による専門的な構造計算の二重チェック体制が確立されることになりました。これにより、高度な構造計算を要する建築物の安全性がより厳格に審査されるようになったのです。
構造計算適合性判定制度対象建築物範囲
構造計算適合性判定の対象となる建築物は、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物に限定されています。具体的な対象範囲は以下の通りです:
主要な対象建築物:
- 許容応力度等計算(ルート2)を行った建築物
- 保有水平耐力計算(ルート3)を行った建築物
- 限界耐力計算を行った建築物
- 国土交通大臣認定プログラムによる構造計算を行った建築物(ルート1)
建築物の規模による区分。
- 法第20条第2号に該当する建築物(中規模建築物)
- 令第36条の2第1号から4号までの建築物
- 令第36条の2第5号に基づく告示で定められた建築物
判定不要な建築物。
- 時刻歴応答解析を行った超高層建築物 🏗️
- 構造計算に関する高度の専門知識を有する建築主事等がルート1の審査を行う場合
- 比較的簡易な構造計算で一定要件を満たす建築物(平成26年改正後)
この対象範囲の設定により、特に安全性の確保が重要な中高層建築物や複雑な構造計算を要する建築物について、専門機関による詳細な審査が義務付けられています。
構造計算適合性判定申請手続き平成27年改正
構造計算適合性判定の申請手続きは、平成27年6月1日の建築基準法改正により大幅に変更されました。この改正は制度運用の効率化と利便性向上を目的としています。
**改正前(平成19年~平成27年5月)**の手続き。
- 建築主事等が構造計算適合性判定を依頼
- 建築確認申請に連動した手続き
- 申請者の選択余地が限定的 📋
**改正後(平成27年6月1日以降)**の手続き:
- 建築主による直接申請制度に変更
- 建築確認申請とは独立した手続き
- 申請機関と申請時期を自由に選択可能
- 建築確認申請に先行して判定申請も可能
新制度のメリット。
- 審査の並行処理による審査期間の短縮 ⏱️
- 申請者の利便性向上
- 審査機関選択の自由度拡大
- 審査の円滑化と効率化
審査期間:
- 指定構造計算適合性判定機関は14日以内に判定結果を回答
- 必要に応じて35日の範囲内で期間延長可能
- 追加検討書の提出期限設定により審査の迅速化
この改正により、建築主や設計者はより柔軟なスケジュール管理が可能となり、建築プロジェクト全体の効率化が図られています。
構造計算適合性判定機関指定要件と全国展開
構造計算適合性判定を実施する機関の指定については、都道府県知事による厳格な審査を経て決定されます。指定構造計算適合性判定機関は、専門性と公平性を重視した選定が行われています。
指定機関の主要要件。
- 構造計算に関する高度な専門知識と技術力
- 建築確認申請部門を持たない独立性の確保 🔍
- 適正な判定業務実施体制の整備
- 公平性と中立性の担保
全国的な展開状況:
- 36都県知事からの委任を受けた民間機関
- 全国20事務所での業務展開
- 地域密着型サービスの提供
- 迅速・信頼・充実をモットーとした業務運営
利益相反の防止措置:
- 指定構造計算適合性判定機関またはその親会社等が指定確認検査機関である場合
- 当該指定確認検査機関が求める構造計算適合性判定は実施不可
- 二重チェック体制の独立性確保
業務の特徴。
- 建築確認申請とは独立した専門審査
- 構造計算のモデル化方針の詳細検証
- 耐力壁の剛性・耐力評価の専門的審査 🏗️
- 構造特性係数設定の工学的判断
この体制により、全国どの地域でも一定水準以上の専門的な構造計算審査を受けることができ、建築物の構造安全性が統一的に確保されています。
構造計算適合性判定制度運用上の課題と今後の展望
構造計算適合性判定制度は導入から18年が経過し、建築物の安全性確保に大きく貢献していますが、運用面でのいくつかの課題も指摘されています。
現在の運用課題。
- 審査期間の長期化による建築工期への影響
- 判定手数料による建築コストの増加 💰
- 地域による判定機関の偏在
- 技術者不足による審査体制への懸念
制度改善の取り組み。
- 平成26年・平成27年の段階的改正による手続き簡素化
- 比較的簡易な構造計算の判定免除制度導入
- 並行審査制度による審査期間短縮
- デジタル技術活用による業務効率化検討
建築業界への影響。
- 構造設計者の技術力向上促進 📈
- 構造計算書の品質向上
- 建築物の構造安全性に対する信頼回復
- 専門機関による技術蓄積と標準化推進
今後の展望。
- AI・機械学習技術の審査業務への応用検討
- BIM(Building Information Modeling)との連携強化
- 国際基準との整合性確保
- 持続可能な審査体制の構築
業界関係者への影響。
構造計算適合性判定制度は、建築士や構造設計者にとって専門性向上の機会でもあります。厳格な審査を通過するためには、より精密な構造計算と詳細な検討が求められ、結果として業界全体の技術水準向上につながっています。
また、建築主にとっては建築物の安全性がより確実に担保されるメリットがあり、長期的な資産価値の保全にも寄与しています。制度の継続的な改善により、安全性確保と効率性のバランスを図りながら、建築業界全体の発展に貢献することが期待されています。
国土交通省の構造計算適合性判定制度に関する詳細な解説資料
建築構造センターの構造計算適合性判定業務の概要と申請手続き