
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、2回目の大規模修繕は以下の築年数で実施されています。
築年数別実施割合
築年数の中央値は28年、平均値は29.4年となっており、多くのマンションで築30年を迎える前に2回目の大規模修繕が実施されています。
修繕周期については、1回目から2回目までの期間は中央値が13年、平均値が14年です。興味深いことに、竣工から1回目までの周期(平均15.6年)よりも短くなる傾向があります。これは建物の劣化が進行し、より頻繁なメンテナンスが必要になるためです。
2回目の大規模修繕は1回目と比較して費用が高額になる特徴があります。
費用相場の比較
項目 | 1回目 | 2回目 |
---|---|---|
工事費用(最多割合) | 4,000~6,000万円 | 6,000~8,000万円 |
1戸あたり費用 | 75~100万円 | 75~125万円 |
1㎡あたり費用 | - | 1~1.5万円 |
費用が高額になる主な理由。
多くの管理組合では、2回目の大規模修繕時に修繕積立金が不足し、以下の対応を迫られています。
2回目の大規模修繕では、1回目とは異なる工事内容が追加されます。
主な工事内容
築20年以上が経過すると、建物の構造や地理的環境による弱点が本格的な劣化として現れてきます。この時期の修繕は建物を長期間維持するための基礎を作る重要な時期といえます。
設備更新の判断基準
機械式駐車場などの大型設備については、稼働状況と収支状況、将来のメンテナンス費用のバランスを見ながら、交換継続か撤去かの判断が必要です。
修繕時期の先送りは避けるべきです。劣化を見過ごすと3回目の大規模修繕時に費用が大幅に膨れ上がり、事故やトラブルのリスクも高まります。
2回目の大規模修繕を成功させるには、1回目とは異なる戦略的アプローチが必要です。
成功のための5つのポイント
日常的な点検と小修繕により、大規模修繕時の工事範囲を最小限に抑制
築年数の進行に合わせた現実的な計画への更新
前回の工事で判明した問題点や改善点の反映
高齢化や生活スタイルの変化に合わせた設備改善
省エネ設備導入やバリアフリー化による資産価値向上
資金不足対策
不動産投資の観点から、2回目の大規模修繕を控えたマンションには特有のリスクと機会があります。
投資リスクの詳細分析
リスク要因
機会要因
投資判断の重要指標
国土交通省の調査では、築年数が古いマンションほど滞納率が高くなる傾向が確認されており、2回目の大規模修繕を控えた物件では特に注意が必要です。
投資戦略の提案
初心者投資家には、2回目の大規模修繕を控えた物件よりも、安定した収益が見込める築浅物件が推奨されます。ただし、経験豊富な投資家であれば、適切なデューデリジェンスにより優良な投資機会を見つけることも可能です。
修繕完了後のマンションは、向こう10~15年間は大きな修繕費用が発生しにくく、安定した収益を期待できる点も投資判断の材料となります。
国土交通省の大規模修繕工事実態調査データ
https://www.mlit.go.jp/common/001234283.pdf