
国土交通省では、軟弱地盤情報を効率的に確認できるオンラインシステムを提供しています 。最も重要なツールが「国土地盤情報検索サイト『KuniJiban』」で、国土交通省の道路・河川・港湾事業等の地質・土質調査成果であるボーリング柱状図や土質試験結果等の地盤情報を検索・閲覧できます 。
参考)https://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/service.html
このシステムでは背景地図上にボーリング位置を重ね合わせ、そのボーリング柱状図や土質試験結果を検索し閲覧することが可能です 。具体的には、全国の地盤情報データベースから、調査地点のN値、土質分類、地下水位などの詳細な地盤データを確認できます。
さらに、国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」も軟弱地盤の確認に重要な役割を果たします 。このマップでは、微地形区分を確認することで、軟弱地盤が存在する可能性のある地形を特定できます 。
参考)https://disaportal.gsi.go.jp/maps/
軟弱地盤の分布は、河川との関係性が非常に密接です 。対象不動産が「旧河道」に近い場合、地盤が軟弱なエリアである可能性が高く、旧河道は過去の河川流路の跡として低地の中で周囲より低い帯状の凹地を形成しています 。
参考)https://www.retpc.jp/meister/reference/pdf/Risk5.pdf
柱状図の活用において重要なのは、深さ毎の土層の種類、色、硬さ、特徴と、1m毎の標準貫入試験の記録です 。柱状図の折れ線がN値と呼ばれる貫入試験値で、63.5kgの重りを75cmの高さから落下させて土中に貫入させる試験結果を示しています 。
参考)https://www.hirahaku.jp/web_yomimono/geomado/jiban14.html
国土地理院発行の土地条件図による地盤リスク判定方法
地形図・旧住宅地図・古地図等による軟弱地盤調査の詳細手順について
河川周辺の軟弱地盤は、「谷底低地」「後背湿地」「旧河道・旧池沼」「干拓地」「埋立地」といった地形区分で特定できます 。これらの地形は軟弱地盤である可能性が高いため、特に地盤に対して警戒が必要です。
参考)https://www.tokiwa-system.com/column/column-287/
液状化判定は軟弱地盤対策において極めて重要な要素です 。沖積層の土層で以下の3つの条件すべてに該当する場合、地震時に液状化が生じる可能性があるため、液状化の判定を行わなければなりません 。
参考)https://soft.godai.co.jp/soft/product/products/ekijyouka/1ekijyoukahantei.pdf
液状化判定の条件として、地下水位が地表面から10m以内にあり、かつ地表面から20m以内の深さに存在する飽和土層が対象となります 。細粒分含有率FCが35%以下の土層、又はFCが35%を超えても塑性指数Ipが15以下の土層も判定対象です 。さらに、50%粒径D50が10mm以下で、かつ10%粒径D10が1mm以下である土層も液状化判定が必要です 。
液状化判定の流れでは、まず液状化マップや地形区分による概略判定を実施します 。微地形区分によって液状化の可能性を「大」「中」「小」に分類し、デルタ型谷底平野、緩扇状地、自然堤防、後背低地、湿地、三角州、砂州、干拓地などは「中程度」の液状化リスクとして評価されます 。
参考)https://www.s-thing.co.jp/jiban_ekijoka_kento/
軟弱地盤対策工法は多岐にわたり、目的に応じた適切な工法の選択が重要です 。主要な軟弱地盤対策工法として、表層処理工法、緩速載荷工法、抑え盛土工法、置換工法、軽量盛土工法、載荷重工法、バーチカルドレーン工法、サンドコンパクションパイル工法、振動締固め工法、固結工法があります 。
参考)https://nougyoudoboku.com/soft-ground-countermeasure-construction-method/
表層処理工法は、地盤の局部的なせん断変形を抑えてトラフィカビリティを確保するため、上部荷重を均一に地盤に伝播させる目的で施工されます 。高含水の粘性土対策として、基礎地盤の表層に簡易な工法を適用して地盤改良を図り、「軟弱層の圧密のための上部排水層」「盛土中への地下水の上昇を遮断する地下排水層」「施工機械のトラフィカビリティを確保する支持層」の3つの役割を果たします 。
圧密促進工法では、プレファブリケイティッドバーチカルドレーン工法(PVD工法)が粘性土系土質を多く含む軟弱地盤に対して最も実用的な地盤改良工法として位置付けられています 。この工法では、軟弱地盤にドレーンを等間隔に設置し、改良しようとする深度まで打ち込んで軟弱地盤を圧密促進させます 。
参考)https://www.ncb-drain.gr.jp/w005.html
建築基準法施行令第38条および第93条により、地盤調査は法的義務として定められています 。建築基準法施行令第93条では、「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によって、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない」と規定されています 。
参考)https://www.juhinkyo.jp/knowledge/column/jibanhourei/
地盤の長期許容応力度による基礎構造の選択基準では、20kN/㎡未満では基礎ぐいが必要で、20kN/㎡以上30kN/㎡未満ではべた基礎または基礎ぐいが選択可能、30kN/㎡以上では布基礎、べた基礎、基礎ぐいのいずれも採用できます 。
軟弱地盤と判定される地盤の具体的な基準として、粘土地盤の場合は標準貫入試験によるN値が3以下、オランダ式二重管コーン貫入値cqが300kN/m²以下、スウェーデン式サウンディング試験において1kN以下の荷重で沈下する地盤、一軸圧縮強さquが60kN/m²以下、自然含水比が40%以上の沖積粘土の地盤が該当します 。砂地盤では標準貫入試験によるN値が10以下、粒径のそろった細砂の地盤が軟弱地盤と判定されます 。
参考)https://www.jice.or.jp/cms/kokudo/pdf/tech/material/dokouh21_02.pdf
住宅建築においては、推定で約6割の住宅で何らかの不同沈下対策の地盤補強工事を実施していると考えられており、その選定にあたっては安全性やコストを総合的に検討する必要があります 。不同沈下対策として、表層地盤改良、深層混合処理(柱状改良)、小口径鋼管工法、コンクリート杭工法、砕石杭工法など多様な選択肢が存在します 。
参考)https://hanteishi.org/post-6571/