
森林法第10条の8では、地域森林計画対象民有林における立木の伐採について、事前の届出を義務付けています。この制度は、森林の適正な管理と造林の推進を目的として設けられており、原則として「1本でも伐採する場合は届出が必要」というのが基本的な考え方です。
参考)https://www.sharing-tech.co.jp/baxtusai/baxtusaitodoke/
ただし、森林法には複数の例外規定が設けられており、特定の条件を満たす場合は伐採届の提出が不要となります。これらの例外規定を正しく理解することは、宅建業務において重要事項説明を行う際の適切な判断に直結します。
参考)https://iqrafudosan.com/channel/forest-law
竹の伐採については、森林法の適用除外として明確に規定されています。これは竹が法律上「立木」として扱われていないためで、竹林の管理や利用において伐採届の提出は一切不要です。
参考)https://www.town.aizumisato.fukushima.jp/soshiki/1004/2/4/916.html
竹類が除外される理由として、竹の成長特性と利用形態が挙げられます。竹は成長が早く、3〜5年で成熟するため、一般的な樹木とは異なる管理サイクルが必要です。また、筍の収穫や竹材の定期的な採取など、農業的な利用側面が強いことも除外理由の一つとなっています。
参考)https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070600/zourin_todokedeseido/index.html
宅建業務では、竹林の開発や整備を含む不動産取引において、この例外規定を適切に説明することが求められます。
災害による被害木や枯死木の処理については、森林法上の伐採届が不要とされています。具体的には、倒木、枯死木、著しく損傷した立木の伐採は届出対象外となり、緊急性を要する場合の迅速な対応が可能です。
参考)https://www.city.uonuma.lg.jp/page/2264.html
法令に基づく義務的な伐採についても届出は不要です。例えば、道路法に基づく道路の維持管理、航空法に基づく航空保安上必要な伐採、森林病害虫等防除法による防除のための伐採などが該当します。
参考)http://www.city.higashihiroshima.lg.jp/material/files/group/38/430121302.pdf
令和6年1月1日からは、電気事業者による電線路の維持管理のための伐採(電線路周囲25m以内)も届出不要となりました。これは社会インフラの維持における手続きの簡素化を図る改正です。
参考)https://www.city.iga.lg.jp/0000000025.html
除伐作業は森林法の伐採届が不要な作業として明確に定義されています。除伐とは、植栽した木の健全な成長を促すために、成長不良木や目的外樹種を除去する作業を指します。
参考)https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/chisan/1356824324516.html
除伐の具体的な対象には、こうぞ、みつまたその他農林水産大臣が定める灌木の伐採も含まれます。これらは一般的な森林経営において必要な保育作業として位置づけられており、森林の健全な発育を阻害する要素を取り除く目的で実施されます。
除伐と通常の伐採の違いを理解することは、宅建業務において森林を含む土地の取引時に重要です。除伐の範囲内であれば手続きは不要ですが、主要な立木の伐採となると届出が必要になるため、適切な区別と説明が求められます。
保安林に指定された森林では、伐採届は不要ですが、代わりに都道府県知事の許可が必要となります。保安林は水源かん養、災害防止、生活環境保全などの公益的機能を重視して指定される森林で、より厳格な管理が求められています。
参考)https://e-takken.tv/h26-22/
保安林における伐採制限は、皆伐(全ての木を伐採)、択伐(一部の木のみ伐採)、間伐(間引き)といった伐採方法や面積について、保安林の種類ごとに詳細な基準が設けられています。このため、保安林での伐採は一般の森林よりも手続きが複雑になります。
宅建実務では、対象となる土地が保安林に指定されているかどうかの確認と、その場合の制限内容を重要事項として適切に説明する必要があります。保安林の指定により土地の利用価値や開発可能性が大きく制約されるためです。