法的瑕疵と再建築不可物件の基本知識

法的瑕疵と再建築不可物件の基本知識

再建築不可物件は法的瑕疵の代表例として注目される問題です。建築基準法の接道義務や都市計画法の制約により、建て替えが困難な物件が数多く存在します。このような物件の概要と対策について詳しく解説しますが、果たして再建築不可問題は解決できるのでしょうか?

法的瑕疵と再建築不可物件

法的瑕疵物件の特徴と再建築不可問題
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法的瑕疵の定義

建築基準法、都市計画法、消防法などの法令違反により利用が制限される物件

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再建築不可の要因

接道義務違反により建て替えができない物件の状況

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価格への影響

通常物件の5~7割程度まで売却価格が下落する傾向

法的瑕疵物件の基本的な概要と再建築不可

法的瑕疵物件とは、建築基準法都市計画法消防法などの法令によって自由な利用が阻害されている不動産のことです 。この中でも特に注意が必要なのが「再建築不可物件」で、現在建っている建物を取り壊すと新たに建物を建てることができない土地を指します 。
参考)https://www.nissho-r.com/column/%E6%B3%95%E7%9A%84%E7%91%95%E7%96%B5%E7%89%A9%E4%BB%B6%E3%81%A8%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B3%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

 

再建築不可物件が生じる主な理由は、建築基準法で定められた接道義務を満たしていないことです 。接道義務とは「幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない」という決まりで、昭和25年の建築基準法施行前に建てられた建物の中には、この基準を満たしていないものが多数存在します 。
参考)https://albalink.co.jp/realestate/property-that-cannot-be-rebuilt-close-to-the-road/

 

これらの物件は「既存不適格物件」と呼ばれ、都市計画区域内の住宅のうち約5%に相当する膨大な数が存在するとされています 。東京都23区内だけでも約24万戸が再建築不可物件と疑われており、身近な問題となっています 。
参考)https://kashi-pro.com/cannot-rebuild-reform/

 

法的瑕疵物件に関連する3つの重要法律

法的瑕疵物件には、密接に関わる3つの法律が存在します 。
建築基準法は、建物や土地に対する安全基準を定めた法律で、建蔽率や容積率の違反、構造上の安全基準不適合、接道義務違反などが法的瑕疵の原因となります 。特に接道義務違反は再建築不可物件の主要因であり、防災や安全の観点から緊急車両の移動を確保するために設けられています 。
参考)https://www.issin-realestate.com/fudosan/

 

都市計画法は、計画的な市街地開発と施設設備の基本的なあり方を定めた法律です 。この法律により国土はエリア分けされ、建築制限が生じる計画道路指定や、原則として開発行為が認められない市街化調整区域内の物件などが法的瑕疵物件に該当します 。
消防法は、火災の予防と発生時の被害抑制について定めた法律で、火災報知器や誘導灯、スプリンクラーなどの防災設備の設置義務に関する規定があります 。これらの設備が設置されていない、または故障・老朽化している場合は法的瑕疵となり、適法状態にするため想定外の支出が必要になる可能性があります 。

再建築不可物件の具体的な接道条件と判定基準

再建築不可物件となる条件は、主に3つの接道要件で決まります 。
第一の条件は、敷地に接する道路の幅員が4m未満である場合です 。救急車や消防車などの緊急車両が進入できず、安全上問題があるため、建築基準法第42条で幅員4m以上でなければ建築基準法上の道路として認められません 。地域によっては幅員6m以上が必要な場合もあります 。
第二の条件は、敷地が道路に接する部分が2m未満である場合です 。旗竿地のような間口が2m未満の土地や、袋地のような道路にまったく接していない土地が該当します 。この接道義務は建築基準法第43条で定められており、災害時の避難経路確保と緊急車両の通行を目的としています 。
参考)https://iekon.jp/column/reconstruction-cannot/1048

 

第三の条件は、接している道が建築基準法上の道路でない場合です 。建築基準法施行前からある道や、正式に道路認定されていない通路などに接している土地は、たとえ物理的に道路のような形状であっても再建築不可となります 。

再建築不可物件の売却価格と市場での評価

再建築不可物件の売却相場は、通常物件と比較して大幅に下落します 。一般的に通常物件の5~7割程度の価格になるとされており、場合によってはさらに低くなることもあります 。
参考)https://albalink.co.jp/realestate/cannot-be-rebuilt-cannot-be-sold/

 

隣地購入により再建築可能になる場合の売却相場は、通常価格の7~9割程度となります 。隣接地を購入して合筆することで接道義務を満たせる見込みがある物件は、比較的高い評価を受けます 。
参考)https://en-reform.com/akiya/column/difficult-vacant-houses/saikenfuka/

 

他人の土地を借りて再建築可能な場合の売却相場は、市場価格の約5割まで下がります 。土地を購入せず借用して接道義務を満たす方法では、地主次第で状況が大きく変わるリスクが売却価格に織り込まれてしまいます 。
参考)https://uruhome.net/souba/

 

金融機関も他人の土地を借りて再建築できる物件は再建築不可物件とみなし、基本的に融資を行わないため、購入者が限定されてしまうことが価格下落の要因となっています 。また、資産価値が低いため担保価値も低く、買手は住宅ローンを利用できないという問題もあります 。

再建築不可物件を建築可能にする独自の解決策

再建築不可物件でも、適切な手続きを行うことで建築可能にできる場合があります 。
参考)https://wakegai.jp/column/saikenchikufuka/properties-cannot-be-rebuilt-solution/

 

セットバック工法は、土地を後退させて道路幅を広げる方法で、接している道路が4m未満の場合に有効です 。後退させた部分を公共の道路として扱ってもらうことで接道義務を満たせますが、その分土地が狭くなり、セットバック工事の費用も自己負担となります 。
参考)https://iekon.jp/column/reconstruction-cannot/1078

 

但し書き規定の活用は、建築基準法第43条第2項第2号の包括同意基準を利用する方法で、特定行政庁の認定により例外的に建築が許可される制度です 。この制度を活用できれば再建築不可状態を解消できる可能性があります 。
隣地買取戦略では、隣接する土地が接道義務を満たしている場合、その土地を購入して合筆することで再建築が可能になります 。間口2メートルを満たせば再建築可能になりますが、土地購入費用が必要になります 。購入ではなく賃借による合筆も可能ですが、賃料が継続的に発生します 。
これらの救済措置には専門的な知識が必要で、許可を取らずに再建築を行うと法令違反となるため、建築士や不動産専門家の協力を得ながら進めることが重要です 。