確定測量図と現況測量図・地積測量図の違いと活用法を解説

確定測量図と現況測量図・地積測量図の違いと活用法を解説

不動産業務で重要な確定測量図・現況測量図・地積測量図の違いを詳しく解説し、それぞれの特徴と使い分け方を具体的に説明します。この記事でどの測量図を使うべきか明確になりませんか?

確定測量図と現況測量図・地積測量図の特徴と違い

測量図の種類と特徴を理解しよう
📍
確定測量図

隣接地所有者との立会いで境界を確定した信頼性の高い図面

📐
現況測量図

現状の構造物や形状を測量して記載した参考用図面

📋
地積測量図

法務局に備え付けられる公的な面積根拠図面

確定測量図の定義と法的効力の理解

確定測量図は、土地の境界を隣接地所有者や行政機関との立会いのもとで確定し、その合意を得て作成される最も信頼性の高い測量図です。この図面は「確定」という名が示すとおり、明確に決まった境界を示しており、不動産取引では必須の書類となります。
確定測量図の作成過程では、土地家屋調査士が現地調査を行い、隣接する全ての土地所有者(道路管理者や水路管理者も含む)と現地で境界の位置を確認します。この立会いが完了し、全ての関係者が署名捺印することで初めて「確定」測量図として成立します。
法的効力の観点から見ると、確定測量図は隣接地所有者の承認済みの測量図であるため、土地売買における信用度は極めて高く、購入後の境界トラブルを防ぐ重要な役割を果たします。
一方で、確定測量の実施には多くの時間と費用が必要です。隣地との境界に設置されている境界標の亡失や隣地所有者が不明な場合など、スムーズに進まないケースも珍しくありません。

現況測量図の特徴と活用場面での注意点

現況測量図は、土地の「現況」を測定した図面で、土地家屋調査士が現地にある境界標やブロック塀など、境界と思われるポイントを調査・測量し、図面化したものです。この測量では隣接地所有者との立会いは行わず、現状の構造物や地物を基に作成されます。
現況測量図の主な活用場面は以下のようなケースです。

 

  • 土地のおおよその面積を知りたい場合
  • 建物を新築する際に土地の形状を把握したい場合
  • 不動産取引の初期段階での参考資料として
  • 建築計画の検討段階での基礎資料として

重要な注意点として、現況測量図はあくまで現況を示したものであり、境界(筆界)の根拠となるものではありません。土地家屋調査士や測量士が土地の形状を見て、境界杭などの工作物の位置から境界線を推測して測量するため、いわば自己申告により作成された図面と言えます。
そのため、現況測量図だけで土地取引を行うことは基本的になく、購入後に隣地所有者とトラブルになるリスクがあります。現況測量図の面積と登記面積が一致していても、隣地所有者の承認は得ていないため、信用度は限定的です。

地積測量図の法的位置づけと保管制度

地積測量図は、法務局に備え付けられている公的な図面で、土地分筆登記、土地地積更正登記、土地表題登記の申請に添付される図面です。「地積」とは土地の面積のことで、地積測量図は地積の測量結果を明らかにする法的な図面として位置づけられます。
地積測量図の記載事項は不動産登記規則第77条1項で厳格に定められており、以下の情報が含まれます:

  • 地番区域の名称と方位、縮尺
  • 地番(隣接地の地番を含む)
  • 地積及びその求積方法
  • 筆界点間の距離と座標値
  • 境界標の表示
  • 測量の年月日

この図面には土地の境界(筆界)に関する重要な情報が記載されており、土地の面積、境界の位置、境界標の種類等が詳細に示されています。土地家屋調査士も境界確定測量を行う場合には、必ず法務局で地積測量図を取得して参考にします。
ただし、地積測量図はすべての土地に存在するわけではありません。上記の登記を行ったことがない土地や、古い年代に登記を行った土地では地積測量図が備え付けられていない場合があります。
平成17年以降に作成された地積測量図が備え付けられている土地は、境界(筆界)が明らかな土地として、安心・安全な土地と評価されます。

確定測量図の作成プロセスと必要期間の実態

確定測量図の作成は複数の段階を経て進められる複雑なプロセスです。まず初期段階では、土地家屋調査士による現地調査と資料収集が行われます。この段階で法務局での公図や地積測量図の取得、市区町村での道路台帳や上下水道台帳の確認が必要です。

 

次に境界の仮復元作業が実施されます。既存の境界標の確認や、亡失している場合の位置推定、隣接地との関係性の調査などが含まれます。この段階で現況測量も併せて実施することが一般的です。

 

最も重要な段階が境界立会いです。隣接する全ての土地所有者(個人、法人、行政機関)との現地立会いを実施し、境界の位置について合意を形成します。この過程では以下の課題が生じることがあります。

 

  • 隣地所有者の所在が不明な場合の調査
  • 相続が発生している場合の相続人調査
  • 行政機関(国有地、市有地等)との調整
  • 境界に関する意見の相違がある場合の調整

境界立会いが完了し、全ての関係者から境界確認書に署名捺印を得られれば、最終的な測量計算と図面作成に移ります。座標値の計算、面積の求積、図面の清書などを経て確定測量図が完成します。

 

作成に要する期間は案件の複雑さによって大きく異なりますが、一般的には3ヶ月から1年程度を要することが多く、複雑な案件では数年かかる場合もあります。

 

測量図の活用シーンと選択基準の業界実務

不動産業界での実務において、3つの測量図はそれぞれ異なる場面で活用されます。適切な測量図の選択は、業務の目的と要求される精度レベルによって決定されます。

 

売買契約における測量図の選択基準
確定測量図は売買契約では最高レベルの信頼性を持ち、買主の安心感と法的安全性を確保できます。特に高額な土地取引や境界が複雑な土地では必須とされます。一方、現況測量図のみでの取引は基本的に行われず、将来的に確定測量を実施することを前提とした特約付きの契約となることが一般的です。

 

建築計画での測量図活用方法
建築確認申請の段階では現況測量図で十分な場合が多く、建物の配置計画や敷地の有効活用の検討に使用されます。ただし、建築後に境界トラブルを避けるためには、着工前の確定測量実施が推奨されます。

 

融資審査における評価の違い
金融機関の融資審査では、担保価値の評価において測量図の種類が重要な判断要素となります。確定測量図がある土地は境界が明確で権利関係が安定しているとみなされ、融資条件が有利になる傾向があります。現況測量図のみの場合は、追加の調査や保証が求められることもあります。

 

相続対策での測量図準備
相続が発生する前に確定測量を実施しておくことで、相続人間のトラブル防止と円滑な遺産分割が可能になります。現況測量図では相続時の境界に関する紛争リスクが残るため、事前の境界確定が重要な相続対策となります。

 

測量費用と価値のバランス
現況測量は比較的低コストで実施できる一方、確定測量は高額になりますが、将来のトラブル回避コストを考慮すると投資効果は高いとされます。地積測量図は登記により無料で取得できるため、まず既存の地積測量図の有無を確認することが実務上の鉄則です。

 

これらの選択基準を理解して適切な測量図を活用することで、不動産取引の安全性と効率性を両立できます。現況から確定への段階的なアプローチや、地積測量図との組み合わせ活用など、柔軟な運用が重要な実務ポイントとなります。