
媒介契約書の記載事項は宅地建物取引業法第34条の2によって厳格に定められており、不動産業者は以下の8つの項目を必ず記載する必要があります。
必須記載事項一覧:
これらの記載事項は消費者保護の観点から設定されており、記載漏れがあった場合は宅建業法違反となる可能性があります。特に重要なのは、各項目が単なる形式的な記載ではなく、実質的な内容を伴っている必要がある点です。
国土交通省の媒介契約に関する詳細な法的根拠と運用指針
媒介契約書における価額・評価額の記載は、単に数値を記入するだけでは不十分です。宅建業者が評価額について意見を述べる場合は、その根拠を明確に示す必要があります。
価額・評価額記載の重要ポイント:
実際の取引現場では、売主の希望価格と査定価格に大きな乖離がある場合が多く見られます。このような状況下で、宅建業者は客観的で合理的な評価根拠を示すことで、売主との信頼関係を構築し、適正な価格での売却を実現することができます。
また、価格設定の根拠として活用される情報には、過去6ヶ月の類似物件成約事例、地価公示価格、路線価、固定資産税評価額などがあり、これらを総合的に判断して査定価格を算出する必要があります。
媒介契約書には、不動産業者が実施する具体的な業務内容と責任範囲を明確に記載する必要があります。これにより、依頼者と業者双方の役割分担が明確となり、トラブルの予防につながります。
業務内容の主な記載項目:
特に注目すべきは、平成30年の法改正により追加された「建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」です。これは既存建物の取引において、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分の調査を希望する依頼者に対して、宅建業者が調査業者を紹介するかどうかを明記する項目です。
この項目の追加背景には、中古住宅の品質に対する消費者の不安を解消し、安心して取引ができる環境を整備する目的があります。記載方法としては「建物状況調査を実施する者のあっせんを行う/行わない」の選択式で記載するのが一般的です。
媒介契約書における報酬に関する記載は、仲介手数料の金額や支払い時期を明確に定める重要な項目です。宅建業法では仲介手数料の上限額は定められていますが、具体的な報酬額と支払い条件は契約書に明記する必要があります。
報酬関連の記載項目:
報酬の上限額は、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格の3%+6万円+消費税」と法定されていますが、実際の報酬額は依頼者との合意により決定されます。重要なのは、報酬額の根拠と計算方法を依頼者が理解できるよう丁寧に説明することです。
また、意外に知られていないポイントとして、媒介報酬は成功報酬制が原則であり、売買契約が成立しなかった場合は原則として報酬を受け取ることはできません。ただし、依頼者の責任で契約が解除された場合や、特別な合意がある場合は例外的に報酬請求が可能な場合もあります。
媒介契約の有効期間は、依頼者の利益保護と適切な業務遂行のバランスを保つ重要な要素です。法律上の制限と実務上の運用ルールを正確に理解し、契約書に適切に記載する必要があります。
有効期間に関する記載ポイント:
実務では、専任系媒介契約の場合、3ヶ月の期間満了時に依頼者の書面による申し出があった場合のみ更新が可能とされています。これは依頼者の自由意思を尊重し、不動産業者による強制的な契約継続を防ぐためです。
また、契約期間中であっても、依頼者は2週間前の予告により契約を解除できる権利を有しています。ただし、この場合は不動産業者が既に要した費用の償還を求められる場合があります。一方、不動産業者側からの解除についても、正当な理由がある場合に限り2週間前の予告により可能です。
有効期間の設定において特に注意すべきは、市場動向や物件の特性に応じた適切な期間設定です。例えば、立地条件が良く需要の高い物件は短期間での成約が期待できる一方、特殊な物件や市場環境が厳しい場合はより長期的な販売活動が必要となる場合があります。