
災害対策基本法第2条では、災害を「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と明確に定義しています 。
この定義は、自然現象による災害と人的原因による災害の両方を含む包括的なものとなっており、平成24年(2012年)の法改正では「竜巻」が新たに追加されました 。防災科学技術研究所によると、自然災害は6種類32項目に詳細分類され、地震、火山、風水害、斜面災害、雪氷災害、その他気象災害という災害種別に体系化されています 。
参考)https://sol.kepco.jp/useful/anpis/w/shizensaigaisyurui/
自然災害と人的災害は、その発生原因と特性により以下のように分類されます 。
参考)https://asobi-bosai.com/blog/202307184396/
自然災害の主要カテゴリー
人的災害(人災)の種類
激甚災害は、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づき指定される特別な災害区分で、被害の規模により「本激」と「局激」の2種類があります 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%80%E7%94%9A%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%87%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%AE%E8%B2%A1%E6%94%BF%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B
本激(全国規模)の指定基準は、全国の査定見込額が特定の基準を超える場合に適用され、一方、局激(局地激甚災害)は市町村単位で被害が基準を上回った場合に指定されます 。指定タイミングは、本激が災害発生から概ね1ヶ月、早期局激も同様に1ヶ月、通常の局激は年度末の3月中旬に行われます 。
参考)https://www.bousai.go.jp/kohou/oshirase/h12/120324/120324.html
激甚災害指定により、地方自治体の財政負担が軽減され、公共土木施設災害復旧事業、農林水産業施設災害復旧事業、中小企業信用保険法による災害関係保証等に特別措置が講じられます 。
参考)https://www.nohmi-service.jp/blog/c66
特定非常災害は「著しく異常かつ激甚な非常災害」として定義され、死者・行方不明者・負傷者・避難者が多数発生し、住宅が多数倒壊し、交通やライフラインが広範囲にわたって途絶し、地域全体の日常業務や業務環境が破壊された状態を指します 。
参考)https://japanknowledge.com/contents/nipponica/sample_koumoku.html?entryid=1484
2024年時点で特定非常災害に指定された災害は、阪神・淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)、台風19号(2019年)、能登半島地震(2024年)の7例です 。
参考)https://www.bousai.go.jp/taisaku/hourei/tokubetsu_houritsu.html
特定非常災害指定により適用される例外措置は約200項目に及び、運転免許証の更新期限延長、相続の承認・放棄期限延長、宅地建物取引業免許の更新期限延長、建築基準法上の仮設住宅設置期間延長などが含まれます 。宅建業従事者にとって重要な点は、宅地建物取引業免許やマンション管理業者登録の期限延長措置が適用されることです。
特定非常災害特別措置法の適用により、宅建業法に基づく各種手続きに特例措置が講じられることは、不動産業界にとって極めて重要な制度です 。具体的には、宅地建物取引業免許の有効期間満了日の延長、重要事項説明書等の交付期限延長、契約関係書類の保存期間に関する特例措置などが適用されます。
これらの措置は、被災地域の不動産取引の継続性を確保し、復旧・復興期における住宅確保や事業再開を法的にサポートする役割を果たしています。また、災害時における建築基準法の特例により、応急仮設住宅の建設期間が通常の2年間から延長可能となることも、宅建業者が関与する復興住宅事業に大きな影響を与えます。
さらに、災害救助法との連携により、被災者への住宅確保支援における宅建業者の役割も法的に位置づけられており、平時からの災害対応体制整備が業界全体の課題となっています 。非常災害時の法的特例措置を正確に理解することは、宅建業従事者にとって必要不可欠な専門知識といえるでしょう。
参考)https://www.stock-stock.jp/news/disaster-management/