
住宅の固定資産税は土地と建物それぞれに課税される地方税で、毎年1月1日時点の所有者に納税義務が発生します。基本的な計算式は「課税標準額×税率1.4%」となりますが、住宅用地には特別な軽減措置が適用されるため、実際の税額は大幅に減額されます。
固定資産税の税率は市町村が独自に設定できますが、**標準税率1.4%**を採用している自治体がほとんどです。一部の地域では1.5%や1.6%を採用している場合もあるため、正確な税率は各自治体に確認が必要です。
計算の基礎となる課税標準額は、固定資産税評価額から各種特例措置を適用した金額です。特例措置が適用されない場合は、評価額がそのまま課税標準額となります。
土地の固定資産税評価額は**地価公示価格の約70%**を基準として算定されます。路線価方式または標準宅地比準方式により評価され、原則として3年ごとに見直される「評価替え」により価格が更新されます。
建物の固定資産税評価額は再建築価格×経年減点補正率により算出されます。新築住宅の場合、建築費の約50~60%が評価額の目安となり、時間の経過とともに経年減点補正率により価値が減少します。
評価額の算定では、建物は国が定める「固定資産評価基準」に基づき、同一の家をその場所で新築する際の建築費を基準とした再建築価格が採用されます。この方法により、購入価格ではなく客観的な建築コストを基準とした公平な評価が実現されています。
住宅用地には住宅用地の特例が適用され、課税標準額が大幅に減額されます。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は固定資産税評価額の6分の1、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は3分の1に減額されます。
例えば300㎡の土地に住宅を建てる場合、200㎡以下の部分は評価額の6分の1、残り100㎡の部分は評価額の3分の1として課税標準額が計算されます。
この特例により、更地と比較して住宅用地の固定資産税は大幅に軽減されるため、土地活用における住宅建築の税務上のメリットが明確になります。ただし、住宅が取り壊された場合は特例の適用が終了し、更地としての課税に戻るため注意が必要です。
新築住宅には建物部分の固定資産税が軽減される特別措置が適用されます。一戸建て住宅は新築から3年間、マンションは5年間、建物の固定資産税額が2分の1に減額されます(2026年3月31日まで延長)。
軽減措置の適用には以下の条件を満たす必要があります。
長期優良住宅の場合、軽減期間がさらに延長され、一戸建ては5年間、マンションは7年間の軽減措置が適用されます。この制度により、新築時の税負担を大幅に軽減できるため、住宅取得計画において重要な要素となります。
実際の計算例として、土地2,000万円・建物3,000万円の新築一戸建てで試算してみます。
土地部分の計算:
建物部分の計算:
この事例では、年間固定資産税の合計は約15.9万円となり、新築軽減措置終了後は建物分が倍額になるため約28.6万円となります。
重要なポイントとして、建物の固定資産税評価額は築年数に応じて減価しますが、新築時評価額の20%を下限として設定されているため、完全にゼロになることはありません。
建築業従事者として顧客に適切なアドバイスを提供するためには、以下の実務対応が重要です。
設計段階での税務配慮:
施工完了後の手続きサポート:
意外な節税ポイント:
建物の評価では設備機器の取り付け状況も評価対象となるため、エアコンや照明器具の設置タイミングを調整することで初年度評価額を抑制できる場合があります。また、外構工事を建物完成後に実施することで、建物評価への影響を最小限に抑える手法も有効です。
市町村の固定資産税評価は築年数経過による自動減額が適用されますが、大規模なリフォームや増築により評価額が上昇する場合もあるため、改修工事の提案時には税務影響の説明が必要です。