貸金業法と銀行法の違い

貸金業法と銀行法の違い

不動産融資を含む金融業界で必須の知識である貸金業法と銀行法について、法的規制や適用対象、総量規制などの重要な違いを詳しく解説しています。どちらがあなたの業務に関係するでしょうか?

貸金業法と銀行法の違い

貸金業法と銀行法の主要な違い
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適用される法律

貸金業者は貸金業法、銀行等金融機関は銀行法が適用される

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総量規制の違い

貸金業者は年収の3分の1制限あり、銀行は対象外

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業務内容の範囲

貸金業者は融資特化、銀行は預金・融資・為替業務が可能

貸金業法の適用対象と規制内容

貸金業法は、消費者金融やクレジットカード会社、信販会社といった貸金業者に適用される法律です 。この法律の主要な目的は、多重債務問題を解決し、消費者を守ることにあります 。
参考)https://cyber.promise.co.jp/contents/html/hajimete_html01_media101.html

 

貸金業法による主な規制には以下があります。

総量規制により、例えば年収600万円の方の場合、すべての貸金業者からの借入総額は200万円が上限となります 。
参考)https://green-osaka.com/sh-knowhow/saimuseiri/not-subject-regulation-on-total-emission.html

 

銀行法の適用対象と事業範囲

銀行法は、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合などの金融機関に適用される法律です 。この法律は、銀行の業務の公共性に基づく信用維持や預金者保護を目的としています 。
参考)https://www.mobit.ne.jp/media/1099/index.html

 

銀行法の適用を受ける金融機関の特徴。

銀行は総量規制の対象外ですが、貸金業法の趣旨を踏まえた独自の審査基準を設けています 。

貸金業法における登録制度と許可要件

貸金業を営むためには、厳格な登録要件を満たす必要があります 。登録申請は営業所の所在地によって、財務局長または都道府県知事に行います。
参考)https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/kashikin/touroku/touroku

 

登録の種類と要件。

  • 都道府県知事登録 - 1つの都道府県内のみに営業所がある場合

    参考)https://www.j-fsa.or.jp/association/start/

     

  • 財務局長登録 - 2つ以上の都道府県に営業所がある場合
  • 更新制度 - 3年ごとに登録更新が必要です

登録要件には以下が含まれます。

  • 総資産額5,000万円以上の確保
  • 貸金業務取扱主任者の設置
  • 欠格事由に該当しない役員・重要な使用人の配置
  • 適切な社内規則の整備

金利規制と利息制限法の適用差

貸金業法と銀行法では、金利規制における法的根拠と上限設定に違いがあります 。
参考)https://www.mobit.ne.jp/media/1093/index.html

 

貸金業者の金利規制。

  • 利息制限法の厳格適用 - 10万円未満:年20.0%、10万円以上100万円未満:年18.0%、100万円以上:年15.0%
  • 出資法による刑事罰 - 年20.0%を超える金利で貸付を行うと刑事罰の対象となります
  • 借入限度額による金利設定 - 実際の借入額ではなく、設定された借入限度額に応じて上限金利が決定されます

銀行の金利設定。

  • 市場原理による金利決定 - 貸金業者よりも一般的に低い金利で融資を行います
  • リスクベース・プライシング - 借主の信用力に応じた金利設定が可能です
  • 長期融資への対応 - 住宅ローンなど長期融資において優位性があります

この金利差により、一般的に銀行融資の方が借主にとって有利な条件となることが多いです 。

宅建業界における貸金業法と銀行法の実務的影響

不動産取引において、これらの法律の違いは重要な実務的意味を持ちます。不動産購入資金の調達方法によって、顧客が受ける規制や条件が異なるためです。

 

宅建実務での重要ポイント。

  • 住宅ローンの特殊性 - 銀行の住宅ローンは総量規制の対象外であり、年収の3分の1を超える融資も可能です
  • つなぎ融資の取扱い - 短期のつなぎ融資では貸金業者を利用することがあり、総量規制の影響を受けます
  • 投資用不動産の融資 - 銀行法適用の金融機関では、事業性融資として柔軟な対応が可能です
  • 顧客への適切な説明義務 - 資金調達方法による規制の違いを顧客に説明することが重要です

また、不動産業者自身が顧客に対して金銭の貸付けを行う場合、貸金業登録が必要となる可能性があります 。手付金の立替えや決済資金の一時的な貸付けなども、反復継続して行う場合は貸金業に該当する可能性があるため注意が必要です 。