
不動産登記制度において、土地と建物は完全に別々の不動産として扱われます。これは日本独特の制度で、同一敷地内に建つ建物であっても、土地の登記記録と建物の登記記録は別々に作成されます。
土地登記の表題部には以下の情報が記載されます。
一方、建物登記の表題部には以下が記録されます。
この分離システムにより、土地だけ売却して建物は残す、または建物のみ譲渡するといった複雑な取引も法的に可能となっています。
土地と建物では登記申請の手続きや必要書類が大きく異なります。特に表示に関する登記では、土地家屋調査士が専門的に取り扱います。
🏗️ 建物表題登記の特徴
🌍 土地表題登記の特徴
建物の登記申請では建築関連書類が中心となる一方、土地の登記申請では測量や境界に関する資料が重要視されます。また、土地の分筆登記や合筆登記のように、土地特有の登記手続きも存在します。
権利に関する登記についても、土地と建物で登録免許税の税率が異なるケースがあり、実務上注意が必要です。
土地と建物が別々の登記記録を持つことで、権利関係も完全に独立しています。これにより、以下のような状況が生じることがあります:
📊 所有者の相違例
このような複雑な権利関係でも、それぞれの登記記録で明確に管理されています。特に相続時には、土地と建物で相続人が異なる場合もあり、それぞれ別々の相続登記が必要となります。
また、抵当権についても土地・建物別々に設定可能で、一方にのみ抵当権を設定することもできます。ただし、金融機関の実務では通常、土地・建物の両方に抵当権を設定するのが一般的です。
権利部甲区(所有権)と乙区(所有権以外の権利)も、土地・建物それぞれに設けられており、各不動産の権利変動が詳細に記録されます。
登記事項証明書の取得時にも、土地と建物は別々の申請が原則となります。一戸建ての場合、土地の証明書と建物の証明書をそれぞれ取得する必要があります。
🔍 取得時の注意点
一方、マンション(区分所有建物)の場合は特殊で、土地の敷地権と建物の専有部分が一体として登記されているため、一つの証明書で土地・建物両方の情報を確認できます。
取得方法としては、法務局窓口、郵送、オンライン(登記・供託オンライン申請システム)の3つがあり、いずれの方法でも土地・建物別々の申請となります。
実務では、不動産取引や相続手続きにおいて土地・建物両方の証明書が必要となるケースが多いため、事前に確認することが重要です。
土地・建物分離登記制度は便利な反面、実務上いくつかの課題も生じています。特に不動産業界では以下のような問題が顕在化しています。
⚠️ よくある実務課題
建物を取り壊した際、建物滅失登記を申請しないと登記記録上は建物が存在し続けることになり、固定資産税が課税され続ける問題があります。また、相続発生時に土地の相続登記は行ったが建物の相続登記を忘れるケースも多く見られます。
これらの課題に対する対策として、以下が重要です。
✅ 効果的な対策方法
2024年4月からは相続登記の申請が義務化されており、土地・建物両方について3年以内の登記申請が必要となります。違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があるため、より一層の注意が必要です。
また、不動産の価値評価においても、土地と建物を分離して評価することで、より適切な資産価値の把握が可能となり、効果的な不動産活用戦略を立てることができます。