全国宅地建物取引業協会連合会 宅建協会の業務支援サービスと電子契約システム

全国宅地建物取引業協会連合会 宅建協会の業務支援サービスと電子契約システム

全国宅地建物取引業協会連合会が提供する宅建業者向けの業務支援サービスや電子契約システムについて詳しく解説。宅建協会に加入するメリットや最新の法改正情報も網羅。あなたの不動産ビジネスを次のレベルに引き上げるにはどうすれば良いでしょうか?

全国宅地建物取引業協会連合会 宅建業者向けサービス

全宅連の主要サービス
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ハトサポBB

宅建協会会員専用の不動産情報流通システム。業務を一気通貫でサポート

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ハトサポサイン

全宅連が提供する電子契約システム。安価で簡単、安心して利用可能

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宅建賠償責任保険

宅建士と事業所全体をカバーする保険制度。割安な保険料で安心

全国宅地建物取引業協会連合会の概要と組織構造

全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)は、日本の不動産業界における最大の業界団体です。47都道府県の宅建協会を会員とし、その傘下に約10万社の宅地建物取引業者が所属しています。全宅連は国民の住生活の安定向上と適正な不動産取引の確保を理念として、土地・住宅政策の推進や各種事業活動を展開しています。

 

全宅連を中心としたハトマークグループは、各都道府県宅建協会、全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)、一般社団法人ハトマーク支援機構、一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)、全宅住宅ローンなどの関連組織で構成されています。このネットワークにより、会員業者は全国規模での相互協力体制の恩恵を受けることができます。

 

特筆すべきは、全宅連に所属する会員の多くが中小業者であることです。地域に密着した不動産取引のプロフェッショナルとして、大手企業にはない細やかなサービスを提供しながらも、全国的な結束によって業界全体の発展に貢献しています。

 

2024年1月には、長年親しまれてきたハトマークのロゴデザインがリニューアルされました。これは令和4年度から進められてきたリブランディング施策の一環であり、時代に合わせた新しいイメージの構築を目指しています。

 

宅建協会が提供する不動産情報流通システム「ハトサポBB」の特徴

ハトサポBBは、宅建協会会員だけが利用できる不動産情報流通システムです。このシステムの最大の特徴は、不動産業務を「一気通貫」でサポートする点にあります。物件情報の登録から顧客管理、契約書作成まで、不動産取引の全工程をシームレスに処理できるよう設計されています。

 

2025年1月1日現在、ハトサポBBは全国42都道府県の宅建協会会員事業所で利用可能となっています。北海道から沖縄県まで、ほぼ全国をカバーしており、地域を越えた物件情報の共有や業務連携が可能です。

 

ハトサポBBの主な機能には以下のものがあります。

  • 物件情報登録・検索機能
  • 顧客管理システム
  • Web書式作成システム
  • 電子契約連携機能
  • 業務効率化ツール

特に「ハトサポWeb書式作成システム」は、自動連動や呼出し機能など便利な機能が満載で、契約書類作成の手間を大幅に削減できます。また、ワード・エクセル形式の契約書式もダウンロードして使用することができ、電子契約やIT重説にも対応しています。

 

さらに、「特約・容認事項文例集」も提供されており、実務に役立つ文例を多数掲載。重要事項説明や契約書作成時の疑問を解消するのに役立ちます。

 

全国宅地建物取引業協会連合会の電子契約システム「ハトサポサイン」導入メリット

2022年5月18日に改正宅建業法が施行され、不動産取引における電子契約の利用が全面解禁されました。これを受けて、全宅連はGMOグローバルサイン・HDと業務提携し、「電子印鑑GMOサイン」と「ハトサポ」を連携させた電子契約システム「ハトサポサイン」を開発・提供しています。

 

ハトサポサインの主なメリットは以下の通りです。

  1. コスト削減:紙の契約書作成・郵送・保管にかかるコストを大幅に削減できます。会員特別価格で利用できるため、中小業者でも導入しやすい価格設定となっています。
  2. 業務効率化:契約書の作成から署名・捺印、保管までの一連の流れをオンライン上で完結できるため、業務時間を短縮できます。特に遠方の顧客との契約では、移動時間や郵送時間が不要になります。
  3. 顧客満足度向上:物件探しから契約締結までオンライン上で完結できるようになり、顧客の利便性が大幅に向上します。特に多忙な顧客や遠方に住む顧客にとって大きなメリットとなります。
  4. セキュリティ強化:電子契約は改ざんが困難であり、また契約内容や署名のログが自動的に記録されるため、紙の契約書よりも高いセキュリティを確保できます。
  5. 環境への配慮:紙の使用量を削減することで、環境負荷の低減に貢献できます。SDGsへの取り組みとしてアピールすることも可能です。

ハトサポサインの利用方法は2通りあります。「ハトサポ」にログインした上で、①「ハトサポ」Web書式作成システムから利用する方法と、②自身で作成した契約書データ(PDF)をアップロードして利用する方法です。どちらの方法も直感的な操作で利用できるよう設計されています。

 

宅建協会会員向け業務支援サービスと保険制度の充実度

宅建協会は会員業者向けに多様な業務支援サービスを提供しており、その充実度は業界内でも高く評価されています。特に注目すべきは、会員限定の保険制度や法律相談サービスです。

 

**宅建賠償責任保険(宅建賠)**は、宅建協会会員向けの保険制度で、思わぬミスや万一の場合に会員事業所を守る重要なセーフティネットとなっています。この保険は、会員事業所に従事する宅建士を守る「基本補償①」と、事業所全体をカバーする「基本補償②」がセットになった商品です。

 

宅建賠の5つのメリットは以下の通りです。

  • 割安な保険料
  • 宅建協会の制度商品としての信頼性
  • 宅建業務の実態を踏まえた網羅的な補償内容
  • 簡単な加入方法
  • 専門性が高い事故対応

また、「宅建ハトさん保証」という家賃保証サービスも提供されています。これは東京都宅建協会グループ100%出資会社の株式会社宅建ブレインズによる家賃保証事業で、大手金融機関が滞納リスクをバックアップしています。生活保護の方、年金生活の方、外国籍の方など、通常の保証会社では審査が厳しい方々のお申込みにも対応している点が特徴です。

 

さらに、会員向けの法律相談サービスとして、弁護士法律相談・契約書式相談・税務相談等の電話無料相談を実施しています。不動産取引に関する専門的な疑問や問題を、専門家に無料で相談できる体制が整っています。

 

全国宅地建物取引業協会連合会による宅建業法改正への対応と今後の展望

全宅連は、宅建業法の改正に迅速に対応し、会員に最新情報を提供する役割を担っています。2024年6月28日には、地方分権一括法による宅地建物取引業法の改正について国土交通省から通知があり、全宅連はこれを会員に周知しています。

 

この改正では、宅地建物取引業者名簿及び宅地建物取引業者の免許申請等に係る書類の閲覧制度について、デジタル原則を踏まえた見直しが行われました。改正法は令和7年(2025年)4月1日から施行される予定で、これに伴い関連政令や省令も整備されています。

 

特に重要なのは、令和7年4月1日より業者票等の差し替えが必要になる点です。宅地建物取引業者が事務所に掲げる業者票(様式第九号)などが改正され、会員はこれに対応する必要があります。全宅連はこうした実務的な情報を迅速に提供し、会員の法令遵守をサポートしています。

 

また、全宅連は空き家対策など社会的課題への取り組みも積極的に行っています。例えば、山形県宅建協会では独自の民間資格「空き家相談専門士」を設け、空き家問題の解決に取り組んでいます。専用テキストを作成し、座学の講義を受けた上で資格を取得できる仕組みを構築しています。

 

さらに、宅建協会では空き家相談会を実施しています。多くは市区町村からの依頼に基づくものですが、一部の協会では独自に相談会を開催しているケースもあります。こうした取り組みは、空き家問題という社会的課題に対して、不動産のプロフェッショナルとして貢献する姿勢を示すものです。

 

今後の展望としては、デジタル化の一層の推進が予想されます。既に「ハトサポBB」や「ハトサポサイン」などのデジタルツールを提供していますが、今後はAIやビッグデータを活用した新たなサービスの開発も期待されています。また、2025年4月には能登半島地震から学ぶ災害対策セミナーの開催が予定されており、災害時の不動産業者の役割についても注目が集まっています。

 

宅建協会会員向け研修制度と専門知識向上のための取り組み

全宅保証では、宅建業法第64条の6に基づき、宅地建物取引士その他宅地建物取引業の業務に従事する者を対象とした研修業務を実施しています。この研修は、宅地建物取引に関する知識及び能力の向上を図ることを目的としており、会員の専門性強化に大きく貢献しています。

 

研修形態は多岐にわたり、地方本部及び宅建協会と共催で実施する講演会形式の研修のほか、Web研修動画の配信も行っています。特にWeb研修は、時間や場所の制約なく、好きな時間に何度でも視聴できる利点があります。

 

不動産総合情報誌「リアルパートナー」で連載中の人気紙面「紙上研修」をわかりやすく解説した動画も配信されています。例えば、「コロナ禍でのハラスメント問題について」や「土地・住宅税制改正のポイント」などのテーマが取り上げられており、時事的な課題にも対応しています。

 

また、弁護士の解説による法令改正の要点や不動産取引の際に起こりうる様々なトラブルの判例をわかりやすく解説した動画も随時配信されています。これらの研修コンテンツは、実務に直結する内容となっており、日々の業務に即座に活かすことができます。

 

さらに、過去に講義形式で実施したセミナーの収録動画も公開されており、参加できなかった会員でも内容を後から確認することができます。地方本部・宅建協会で開催している研修については、各都道府県宅建協会のホームページで確認することができます。

 

こうした充実した研修制度は、宅建業者の専門知識向上に大きく貢献しており、消費者に対するサービスの質の向上にもつながっています。特に法改正や新たな制度導入が頻繁に行われる不動産業界において、最新情報を常にアップデートできる環境は非常に重要です。

 

全宅連では、2025年1月22日には「能登半島地震から学ぶ!災害対策セミナー」の開催も予定されており、災害時における不動産業者の役割や対応についても学ぶ機会を提供しています。このように、時代のニーズに合わせた研修内容を常に更新し、会員の専門性向上をサポートしています。