
建物評価額の最も基本的な計算方法は、固定資産税評価額を基準とした算定手法です。この方法では、各市町村が3年に1度評価替えを行う固定資産税評価額をそのまま建物の評価額として使用します。
計算式は以下の通りです。
建物評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率 × 評点一点当たりの価額
📋 計算に必要な要素
経年減点補正率は築年数に応じて設定されており、木造建物では築1年で0.80、築27年以上で0.20となります。非木造建物では築1年で0.9579、築45年以上で0.20が適用されます。
原価法は建物を取り壊して同じ建物を再建築した場合の費用を基準とする評価方法で、特に戸建て住宅の評価で広く使われています。この手法は不動産鑑定でも標準的に採用される信頼性の高い計算方法です。
🏠 原価法のメリット
原価法による建物評価額は、建物の構造や仕様、築年数を詳細に分析して算出されます。標準的な建築費用に各種補正を加えることで、より正確な評価額を導き出すことができます。
建築業界では、この原価法を基準として火災保険の建物評価額も決定されており、建築価額に建築年ごとの係数を乗じる方法も併用されています。
建物評価額の計算において最も重要な要素の一つが経年劣化による価値の減少です。建物は時間の経過とともに物理的な劣化が進むため、この影響を適切に評価額に反映させる必要があります。
⏰ 経年減点補正率の適用基準
築年数 | 木造建物 | 非木造建物 |
---|---|---|
1年 | 0.80 | 0.9579 |
2年 | 0.75 | 0.9309 |
3年 | 0.70 | 0.9038 |
26年 | 0.21 | 0.3794 |
27年以上 | 0.20 | - |
45年以上 | - | 0.20 |
建物評価額は単純に築年数だけで決まるのではなく、需給事情や物価水準なども考慮されます。そのため、築年数が古くても物価上昇により評価額が維持されるケースもあります。
再建築価格に対して50%から70%程度が一般的な建物評価額の目安とされており、この範囲内で個別の建物の状況に応じた調整が行われます。
建物評価額の計算では、基本的な経年劣化以外にも様々な特殊要素による補正が適用されます。これらの補正要素を正しく理解することで、より正確な評価額の算定が可能になります。
🔧 物価水準による補正
評点一点当たりの価額は1円を基準として、物価水準による補正率と設計管理費等による補正率を乗じて算出されます。物価上昇時には1.0を上回る補正が適用され、物価下落時には1.0を下回る補正が行われます。
積雪地帯補正
積雪地域にある建物では、雪荷重に対応する構造強化が必要なため、特別な減点補正率が適用されることがあります。この補正により、同じ築年数でも地域特性を考慮した適切な評価が行われます。
建築様式による補正
著しく旧式の建築様式を持つ非木造家屋については、現代の建築基準との差異を考慮した補正が適用されます。これにより、歴史的価値と実用的価値のバランスを取った評価が可能になります。
これらの特殊補正要素は、建物の個別事情を詳細に反映するため、評価額の精度向上に重要な役割を果たしています。建築業従事者は、これらの要素を十分に理解して適切な建物評価額の算定を行うことが求められます。
建物評価額の実務計算において、一般的には知られていない重要なポイントがいくつか存在します。これらの知識は、より正確で実用的な評価額算定に不可欠です。
💡 消費税逆算による建物価額の特定
土地建物を一括購入した場合、建物部分の価額が不明なことがあります。この場合、土地代には消費税がかからない特性を利用して、消費税額から建物金額を逆算できます。
計算例
総額3,300万円(消費税込)の物件で消費税が300万円の場合。
⚡ マンションの共用部分価額控除
マンションの建物評価額を算定する際は、専有部分の価額から共用部分(エレベーター、廊下等)の価額を適切に控除する必要があります。この控除を怠ると評価額が過大になる可能性があります。
相続税評価との相違点
建物の相続税評価額は固定資産税評価額×1.0で算出されますが、貸家の場合は借地権割合と賃貸割合を考慮した控除が適用されます。
貸家評価額 = 固定資産税評価額 - (固定資産税評価額 × 借地権割合 × 賃貸割合)
🔍 評価額の調整幅活用
火災保険等の建物評価では、算出された標準評価額に対してプラスマイナス30%の調整が可能です。建物のグレードや特殊仕様を考慮して、この調整幅を適切に活用することで、より実情に合った評価額を設定できます。
これらの実務ポイントを理解することで、建築業従事者はより専門性の高い建物評価額の算定サービスを提供できるようになります。