建物 相続税評価額 計算方法 固定資産税評価額

建物 相続税評価額 計算方法 固定資産税評価額

相続で受け継いだ建物の相続税評価額を正確に算出する方法から、節税対策まで詳しく解説します。固定資産税評価額をベースとした計算方法や、賃貸物件特有の評価減について、具体例とともに分かりやすく説明します。あなたの相続税計算は適切に行えていますか?

建物 相続税評価額 計算方法

建物の相続税評価額 計算のポイント
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基本的な計算式

固定資産税評価額×1.0が基本原則

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利用状況による違い

自用・賃貸で計算方法が変わる

💰
節税対策

賃貸化による評価減効果を活用

建物 固定資産税評価額 確認方法

建物の相続税評価額を計算するために最初に必要なのが、固定資産税評価額の正確な把握です。この評価額は毎年4月から6月頃に各市町村から送付される「固定資産税課税明細書」に記載されています。
固定資産税課税明細書には以下の情報が記載されています。

  • 課税対象となる建物の所在地
  • 建物の構造・用途・床面積
  • 固定資産税評価額(これが相続税評価額の基準となります)
  • 課税標準額
  • 固定資産税額

明細書を紛失した場合でも、名寄帳固定資産評価証明書を市町村の税務課で取得することで確認できます。これらの書類は相続税申告の際にも必要書類となるため、必ず取得しておきましょう。

 

建築から間もない建物の場合、固定資産税評価額は一般的に建築費の60~70%程度に設定されています。この点も評価額を予想する際の参考となります。

建物 自用建物 計算方法

被相続人が自宅として居住していた建物や、事業用として利用していた建物の相続税評価額は最もシンプルな計算方法です。

 

計算式:固定資産税評価額 × 1.0
つまり、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

 

具体例:

  • 固定資産税評価額が2,000万円の自宅の場合
  • 相続税評価額 = 2,000万円 × 1.0 = 2,000万円

この計算方法は以下の建物に適用されます。

  • 被相続人の自宅(一戸建て・マンション問わず)
  • 被相続人が事業用として利用していた店舗・事務所
  • 被相続人が所有し、法人に貸していた建物(同族会社等を除く)

一戸建てだけでなく、分譲マンションの場合も同様の計算方法となります。ただし、マンションの場合は専有部分(室内)と敷地利用権(土地の共有持分)を分けて評価する必要があります。

 

自用建物の場合、特別な減額措置はありませんが、建物の相続税評価額は一般的に実勢価格よりも低くなる傾向があるため、相続税の負担軽減効果は期待できます。

 

建物 賃貸物件 借家権 評価減

建物を第三者に賃貸している場合、借家人の権利(借家権)を考慮して相続税評価額を減額できます。この制度は賃貸経営による相続税対策の重要な要素です。

 

計算式:固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

  • 借家権割合:全国一律30%
  • 賃貸割合:実際に賃貸されている床面積の割合

一棟全体を賃貸している場合(賃貸割合100%):

  • 固定資産税評価額 1,000万円の賃貸アパート
  • 相続税評価額 = 1,000万円 × (1 - 0.3 × 1.0)= 700万円
  • 評価減効果:300万円(30%の減額)

部分的に賃貸している場合:

  • 全床面積200㎡、賃貸部分120㎡(賃貸割合60%)
  • 固定資産税評価額 800万円
  • 相続税評価額 = 800万円 × (1 - 0.3 × 0.6)= 656万円
  • 評価減効果:144万円(18%の減額)

賃貸割合の計算では、契約書上の賃貸面積ではなく実際に賃貸されている面積で判定します。空室がある場合は、その分は賃貸割合から除外されるため注意が必要です。

 

ただし、親族間での賃貸や著しく低額な賃料での賃貸の場合、借家権の評価減が認められない場合があります。

 

建物 建築中物件 費用原価 評価

相続開始時点で建築工事が完了していない建物についても、相続税の課税対象となります。これは建築業界では「青田相続」とも呼ばれるケースです。

 

計算式:費用原価の額 × 70%
費用原価の額とは、相続開始日までに実際に支払った建築費用の総額です。設計費、材料費、工事費、付帯工事費などすべてを含みます。
具体例:

  • 建築予定のアパート(総工事費1億円)
  • 相続開始時点での支払済み費用:6,000万円
  • 相続税評価額 = 6,000万円 × 0.7 = 4,200万円

この70%という係数は、建築中の建物が完成済み建物と比較してリスクや流動性の面で劣ることを考慮したものです。

 

建築中建物の評価で重要なポイント。

  • 契約金額ではなく実際の支払額で評価する
  • 着手金のみ支払っている場合は着手金×70%
  • 工事が大幅に遅延している場合は、進捗状況の確認が重要
  • 未払いの工事費用は債務として控除できる

建築請負契約を結んだ直後に相続が発生した場合、まだ着手金しか支払っていない状況では評価額が低くなる一方で、完成間近の場合は相当額の評価となるため、相続タイミングによる影響が大きい点に注意が必要です。

 

建物 増改築 特殊評価 計算

相続開始前に増改築を行った建物については、固定資産税評価額に反映されていない部分を別途評価する必要があります。これは建築業界特有の評価問題です。

 

計算式:増改築前の固定資産税評価額 + (増改築費用 - 相続開始日までの償却費)× 70%
償却費の計算方法:
増改築費用 × 90% × 経過年数 ÷ 法定耐用年数
法定耐用年数の例:

具体的な計算例:

  • 増改築前の固定資産税評価額:2,000万円
  • 増改築費用:500万円(木造住宅の増築)
  • 相続開始まで:11年経過

償却費の計算:
500万円 × 90% × 11年 ÷ 22年 = 225万円
相続税評価額:
2,000万円 + (500万円 - 225万円)× 70% = 2,192万5,000円
増改築特有の注意点。

  • 建築確認申請を伴わない軽微な修繕(内装工事等)は対象外
  • 増改築部分が建物として独立性を持つ場合は別途評価
  • リフォーム時期の証明として契約書や領収書の保管が重要
  • 法定耐用年数を超えている場合は償却完了として計算

この評価方法により、最近増改築を行った建物では固定資産税評価額よりも相続税評価額が高くなるケースがあります。相続対策を検討する際は、増改築のタイミングも考慮に入れることが重要です。

 

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