
増改築工事における法的な定義は、建築基準法により明確に区分されています。増築とは、既存建物の床面積を拡張する工事全般を指し、敷地内に新しい構造物を造ったり、平屋を2、3階建てに変更することも含まれます。一方、改築は建物の一部を除却した後、同じ用途・規模・構造で建物を建てる工事として定義されています。
建築基準法では、これらの工事を行う際に厳格な規制が設けられています。特に重要なのは、建ぺい率と容積率の制限で、敷地面積に対する建築面積や延べ床面積の割合が地域ごとに上限が設定されています。これらの制限を超える増改築は違法建築とみなされる可能性があります。
建築基準法は「状態規定」と呼ばれる性質を持ち、建築主は所有する建物を常に適法状態に保つ義務があります。この義務はリフォームや増改築時にも適用され、工事の規模に関わらず法的基準への適合が求められます。
💡 建築面積の計算時のポイント
増改築工事を行う場合の建築確認申請は、工事の規模と内容により要否が決定されます。一定の増築工事では自治体への「建築確認申請」の提出が法的に義務付けられており、これを怠ると完成後に違法建築とみなされ、最悪の場合は撤去命令が下される可能性があります。
確認申請が必要となる主な工事内容は以下の通りです:
2025年の建築基準法改正により、確認申請の範囲が拡大される予定です。従来の4号特例(小規模建築物の確認申請簡素化制度)の縮小により、木造戸建住宅の大規模リフォームでも詳細な構造計算書の提出が求められるケースが増加します。
確認申請の審査期間は通常7日~35日程度を要し、工事着手前の完了検査も義務付けられています。申請書類には設計図書、構造計算書、省エネ計算書等が必要で、専門知識を要するため建築士への依頼が一般的です。
申請手続きの流れ
既存不適格建築物とは、建築当時は適法であったが、その後の法改正により現行法に適合しなくなった建築物を指します。これらの建物は違法建築ではありませんが、増改築を行う際には特別な注意が必要です。
建築基準法では、既存不適格建築物に増築等を行う場合、原則として既存部分も含めて現行法規への適合が求められます。これを「法の遡及適用」と呼び、築年数の古い住宅をリフォームする際の重要な留意点となります。
ただし、全ての増改築で遡及適用があるわけではありません。以下のような軽微な工事は適用除外とされています。
既存不適格建築物の対応策
近年の法改正では、耐震性能や省エネ性能の向上が重視されており、既存不適格建築物でも段階的な性能向上が推奨されています。特に2025年4月施行の改正建築基準法では、省エネ基準適合義務の対象拡大により、増改築時の省エネ性能確保が必須となります。
借地上の建物で増改築を行う場合、借地契約における「増改築禁止特約」の有無が重要な判断要素となります。この特約がある場合、地主の事前承諾なしに増改築工事を行うと契約違反となり、最悪の場合は借地契約の解除事由となる可能性があります。
増改築禁止特約で制限される工事範囲は、単純な建て替えだけでなく、建物の一部取り替え(一部改築)も含まれます。さらに注目すべきは、火災や地震による損壊後の復旧工事も「改築」に該当し、地主承諾が必要になるケースがあることです。
借地借家法17条2項における「増改築」の解釈は以下の通りです:
地主承諾が不要なケース
実務上は、工事内容が増改築に該当するか微妙な場合でも、事前に地主と協議することが紛争防止の観点から重要です。承諾料の相場は更新料の半額程度とされていますが、地域や物件により異なります。
増改築工事では、構造安全性、防耐火性能、環境衛生基準などの単体規定への適合が求められます。特に重要なのは構造耐力上の安全性で、既存建物の柱や梁の位置を変更するリフォームでは、確認申請が不要であっても建築士による構造検討が必須です。
構造安全に関する規制
防耐火に関する規制
2025年4月から施行される省エネ基準適合義務化により、増改築工事でも一定規模以上では省エネ性能の確保が法的義務となります。対象となる工事は以下の通りです:
環境・衛生基準の主要項目
これらの基準は、増改築の規模に関わらず適用される可能性があるため、計画段階での詳細な法的検討が不可欠です。特に築年数の古い建物では、現行法との適合性確認のため、建築士や構造設計者による専門的な調査・検討を事前に実施することを強く推奨します。
法規制の詳細情報については国土交通省のガイドライン参照
https://www.mlit.go.jp/common/001766698.pdf'
建築確認手続きに関する詳しい解説
https://www.refonet.jp/csm/info/law.html'